キリ番
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※注意!
・ギャグです。
・タイトルの通り。
・サレヴェイというよりサレ→→→→ヴェイ
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その男、変態につき
「やぁヴェイグ。今日も可愛いね」
風呂に入っていたら、突然窓がガラリと開いた。
目の前に現れた男――サレが神出鬼没なのは今に始まったことではない、が。
「何故入浴中に入ってくるんだ」
「何故って…可愛いヴェイグの背中でも流してあげようかと思ってね」
「帰れ」
迂闊だった…。
当然だが今オレは裸で、手元に武器は無い。
それに今日は一人部屋だから、誰かを呼ぶこともできない。
唯一使える手段と言えばフォルスだが、相手だって能力者だ。
状況は圧倒的に不利…。
「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。君を傷つけようと思って来たわけじゃないから。剣も持ってきてないし」
ほら、無いだろう?と言って、サレは腰元を示した。
なるほど、確かにそこに剣の姿は無い。
…というか、剣も持たずに外出して平気なのか?
「じゃあ何故来た?」
「夜這いしようと思って」
「帰れ。というか何で夜這いなのに風呂場に入ってくるんだ」
我ながら律儀だと思うが聞かずにいられない。
悲しい性というものか。
「最初はちゃんと部屋に入ったんだよねぇ。でも窓から入ったはいいものの、君はベッドにはおろか部屋にすらいない。どうしたものかと思ってたら、バスルームのほうから水音が聞こえたからね。窓から入り直してみたってわけさ」
突っ込みどころが多過ぎてどこから突っ込んでいいかわからない。が、とりあえず。
「…部屋で待つという選択肢は無かったのか?」
それはそれで嫌だが。
「いやぁ、ヴェイグの生肌が見られるチャンスだと思ったら、いてもたってもいられなくてね…」
「マジ帰れ」
「さっきから君、『何故』と『帰れ』ばっかりだねぇ」
それは当然だ。こんな変態と一緒にいたくないからな。
オレがどうやって追い出そうかと考えていると、サレが身体に触れてきた。
「ヴェイグってお肌すべすべだね。妄想…じゃなかった想像通りだ。余計な肉とかもついてないし…うへへへ」
恍惚とした表情で、腰のあたりを撫でまわしてくる。
はっきり言ってキモイ。そして気色が悪い。
「…おいサレ。やめろ」
「んー?いいじゃないか。減るもんじゃないし」
減る。オレの神経がすり減る。
「いいから放せ」
「…そういう可愛くないこと言う子は、お仕置きだよ?」
「…? っひゃ、あはははっ!」
サレはいきなりオレをくすぐりはじめた。
なんとか攻撃の手から逃れようとするが、狭い風呂場に逃げ場は無く、難なく捕まってしまった。
「フフ、ヴェイグは感じやすいんだね。可愛いなぁ…」
「何、言って…ッ、はは…!」
言っている意味はよくわからないが、今はとにかくサレの手から逃れたかった。
「も、やめッ…ふぁ、あ、は…ッ」
「何だかイケナイコトしちゃってる気分だなぁ。フフ、燃えるよ…」
もう息があがってしまっているが、渾身の力を振り絞って魔の手を振りほどき、サレを睨みつけた。
潤んだ目ではあまり効果が無いかと思ったが…。
「ぶはぁッ!!」
…効果は抜群だったらしい。
サレは何故か鼻血を大量に吹いて、昏倒した。
ゴン、という鈍い音がしたから、きっとサレの後頭部には、こぶが出来ただろう。
「何なんだ一体…」
とりあえずオレはサレを窓の外へ放り出し、鼻血をシャワーで流して(証拠隠滅)、何事も無かったかのように風呂場を出た。
そしてそのままサレのことをすっかり忘れて眠ってしまった。
翌朝、隣室だったティトレイに、『昨日の夜すげー音したけど、風呂場で転んだか?』と言われるまで、放り出したサレのコトを忘れていた。
「ヴェイグ…酷いよ…」
合掌☆
END
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快斗さまに捧げます。
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