おだい

□5のお題(恋)
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04.撫でる




最近、気づいたことがある。

ヒバリさんは、俺が頭を撫でると目を猫のように細めて、気持ちよさそうな顔をする。
本人がそう口にしたことは無いけれど、おそらく、髪を触られるのが好き、なんだと思う。俺限定で。(これは自惚れではない自信がある。だって他の人がやろうものならトンファーでめった打ちだ。)

俺だってヒバリさんに触るのは好きだから、それに何の問題もない。少々癖のある猫っ毛は触り心地がいいのだ。

「さわだ?」

放課後の応接室。俺の膝に頭を乗せ、微睡んでいるヒバリさんは、この体勢もあってか、とても可愛く見える。

なんですか、と答えると、彼はふわりと笑んだ。(可愛い。)

「きもちいい」

そう言って、漆黒の髪を撫ぜていた俺の手を、頬に引き寄せた。
もしかして撫でられることより、俺の手が好きなのかな、なんてますます自惚れてしまう。
睡魔に魅入られている時のヒバリさんは、俺の心を掻き乱す天才だ。

「…髪、」

「え?」

うまく聞き取れなくて顔を近づける、と、甘さを含んだ眼とぶつかった。
その闇色の瞳に傾きかけている太陽の光が差し込んで、とても綺麗だと思った。

「きみの髪、きらきらしてる。…きれい」

あっけにとられてる俺に微笑して、ヒバリさんはことりと眠りに落ちた。

今鏡を見たら、俺は相当情けない顔をしてるに違いない。
顔が熱い。心臓の音がうるさい。

ヒバリさんが好きだ。

「もう、反則ですよ…」

頬に差した赤みは、夕陽でも誤魔化せそうにない。




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