おだい
□5のお題(恋)
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03.唇
綱吉の指が、ディーノの唇に触れる。
その指先が思いのほか冷たくて、ディーノは驚いて身を引こうとした。しかし、腰を抱き込まれているために、それは叶わなかった。
「ディーノさん」
あまく鼓膜を揺らす声。
「唇、荒れてますね」
「ああ、寒いと荒れちまうんだ」
尚も唇を撫で続ける指に、ディーノは眩暈にも似た感覚を覚えた。
(溶かされちまいそうだ)
不意に、綱吉が指を離し、くすりと笑った。
「ディーノさん、その顔は反則ですよ」
「えっ?」
自分がどんな顔をしていたというのか。
ディーノは慌てて自らの頬を押さえる。
その仕草は綱吉の笑いを更に誘ったらしく、笑みは濃くなった。
「わかりませんか?」
「わ、わかるわけないだろ」
「…それもそうですね」
じゃあ教えてあげます。
その台詞を聞くと同時に、ディーノの体はベッドへと投げ出された。
すぐさま綱吉が覆い被さってくる。
「おいツナ…っ」
文句を言おうと口を開いたが、綱吉の唇に塞がれてしまう。
触れるだけのキスを繰り返した後、隙をついて、綱吉の舌がディーノの口内に滑り込んできた。
「んっ、はぁ…っ」
無意識のうちに、綱吉に縋りつく。と、綱吉の両手がディーノの頬を包み込み、繋がりは深くなった。
解放される頃には、ディーノの体からは力が抜けてしまっていた。
「ツナ…」
「…あのですね、ディーノさん、『キスしてほしい』って顔してたんです」
「な…っ!?」
ディーノの頬に、さっと朱が走る。
綱吉は愛しげに目を細めた。
「だから、キスしちゃったんですよ」
にっこりと笑う綱吉に居心地の悪さを感じ、ディーノはもう何も言えなかった。
だからもう一回、とキスをせがんで、ふてくされたように目を閉じた。
尚も笑う綱吉の唇が降りてくるまで、そう時間はかからなかった。
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