おだい

□キスに関する10のお題
2ページ/3ページ

04.無意識の衝動




それは、正しく衝動だった。

腕を掴んで、引き寄せて、腰に手を回して――。
絶対に拒否されると、頭の隅で考えたけど、衝動で動いた体が止まるはずもなく、そのまま。

唇を、重ねた。

そんな雰囲気だったわけじゃない。
愛を囁いたわけでもない。
愛を伝えられたわけでもない。
ただ。
そう、ただ、唐突に欲しくなっただけ。
彼が。
彼の唇が。
彼という、存在が。

彼は、逃げなかった。


「どうして?」

「それはお前に返そう」

何故口吻けなどした?

だって、

「あんたが欲しくなったから」

「何故?」

なぜ?
どうして欲しくなった?
俺は――。

「…俺、クラトスが好きだ」

告げると、彼は綺麗に笑った。




title
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ