おだい
□キスに関する10のお題
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04.無意識の衝動
それは、正しく衝動だった。
腕を掴んで、引き寄せて、腰に手を回して――。
絶対に拒否されると、頭の隅で考えたけど、衝動で動いた体が止まるはずもなく、そのまま。
唇を、重ねた。
そんな雰囲気だったわけじゃない。
愛を囁いたわけでもない。
愛を伝えられたわけでもない。
ただ。
そう、ただ、唐突に欲しくなっただけ。
彼が。
彼の唇が。
彼という、存在が。
彼は、逃げなかった。
「どうして?」
「それはお前に返そう」
何故口吻けなどした?
だって、
「あんたが欲しくなったから」
「何故?」
なぜ?
どうして欲しくなった?
俺は――。
「…俺、クラトスが好きだ」
告げると、彼は綺麗に笑った。
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