おだい

□小説書きさんに15題
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8:川の流れ

※ノルン戦後。EDネタバレ。





時は、いつだって止まらずに流れていくんだ。


あれから、……双子が世界からいなくなっちゃってから、クルールとふたりでエトスハウスに帰ったぼくは、長い間泣いて暮らした。
ディオとメルのいない家は広くて冷たくて、それがすごく悲しかった。
“涙が涸れるまで”って表現があるけド、それっていつなんだろうってくらい、涙は溢れ続けていた。

暫くして、埃の溜まってしまった家を掃除しているとき、ふと昔のアルバムが目に止まった。
クルールと一緒に覗き込んだページには、ぼくと、ぼくのかわいい双子の笑顔。
時にはふくれっ面だったり泣き顔だったりしたけれド、ふたりの成長が、そこには映っていた。

そして思ったんだ。
どうしてぼくはこんなことをしてるんだろう。
消えるその瞬間まで、あの子たちは笑っていたのに。
ぼくがこんなじゃ、顔向け出来ないじゃない、って。

それからぼくは、身寄りのない子を引き取って育てることにした。
旅の中で、親のいない子をたくさん見てきたシ、何より、ディオとメル……ううん、ディオスとメルティアみたいな子を、少しでも助けてあげられるならって、そう思って。

必要のなくなった結界は解除して、誰でも訪ねて来られるように。
旅の途中でディオが捕まえた魔物たちは、クルールが世話をしてくれている。言葉も通じてるみたいだシ、ぼくひとりじゃ手に負えなかったから助かってる。
魔物たちがいると悪い人が近付きにくいみたいで、番犬代わりに一役買っているよ。

孤児院になったエトスハウスに、今いる子どもは四人。騒がしいけド、楽しい毎日。
でもね、たまに双子の影を探しちゃうことがあるんだ。
いるはずないのに、呼びそうになっちゃったりして。

そんな夜は、決まってクルールがぼくのベッドに来てくれる。
クルールは人の気持ちに敏感だから、ぼくが寂しさを感じるとわかるみたい。
クルールを抱きしめて眠ると、心にある塊を分かちあえるような気がして、少し楽になる。
そして次の朝には、ちゃんと子どもたちの『お母さん』が出来るんだ。

“いつか、どこかで”

ディオとメルが言った言葉。
いつかも、どこかもわからない約束。

ねえ、ぼく、待ってるよ。
あの時は信じられなくて泣いたけド。今は信じてる。
いつか、ふたりが会いに来てくれるって、信じて待ってるかラ。


軽いノックの音は、きっと再会の合図。



END




なりダンXクリア記念に書いた小話。ノルン戦からEDまでのエトスを妄想した産物。

双子が消えちゃったあと、エトがああして立ち直るまでには相当時間が必要だったんじゃないかなぁと思うのです。エンディングの絵が切なくて切なくて。

きっと帰ってきた双子は、エトを手伝いながら『なりきり士』として働いていくんだろうなぁ。頑張れ。


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