おだい

□小説書きさんに15題
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6:てのひら



二人分の体重に抗議するかのように、ぎしり、とベッドが鳴った。
彼らはベッドの上で向き合って座っていた。

「ジェイド…」

ルークの手が、ジェイドの亜麻色の髪を撫でる。ジェイドはどこかくすぐったそうにしながらも、それを甘受していた。

今、部屋にはルークとジェイドしかいない。ガイは酒場に行っているから、当分帰ってこないだろう。

「ジェイド」

ルークは、本当にいとおしそうにその名を呼ぶ。

実際、いとおしいのだろう。ジェイドという存在が。
ジェイドのほうも、淡く微笑むことでそれに応えた。

ルークが髪から手を離すと、ジェイドの手がルークのそれに重なった。
手袋は外されているため、二人の手のひらが直に触れ合う。
多少驚きはしたものの、にっこりと笑って指を絡ませ、お互いの手のひらを握るような形にした。

罪に塗れた手と、血に汚れた手。
重ねて、体温を共有する。

「このまま、溶けてひとつになれたらいいのにな」

「そんなこと、出来るわけないじゃないですか」

その言葉にルークは、そうだ、出来るはずがないんだ、と自嘲気味に顔を歪めた。
そんなルークを見て、ジェイドはふっと微笑んだ。

「でも」

「?」

「ひとつになれないからこそ、いとおしいのでは?」

「ジェイド…」

ルークは繋がったてのひらを引き寄せて、その桃色の唇に自分の唇を重ねた。
そこからも体温が伝わって。

なんていとおしい、ぬくもり。

「好きだ…好きだよ、ジェイド」

「…私もですよ」

このぬくもりを手放したくない。
そう、思った。




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