おだい
□小説書きさんに15題
1ページ/3ページ
6:てのひら
二人分の体重に抗議するかのように、ぎしり、とベッドが鳴った。
彼らはベッドの上で向き合って座っていた。
「ジェイド…」
ルークの手が、ジェイドの亜麻色の髪を撫でる。ジェイドはどこかくすぐったそうにしながらも、それを甘受していた。
今、部屋にはルークとジェイドしかいない。ガイは酒場に行っているから、当分帰ってこないだろう。
「ジェイド」
ルークは、本当にいとおしそうにその名を呼ぶ。
実際、いとおしいのだろう。ジェイドという存在が。
ジェイドのほうも、淡く微笑むことでそれに応えた。
ルークが髪から手を離すと、ジェイドの手がルークのそれに重なった。
手袋は外されているため、二人の手のひらが直に触れ合う。
多少驚きはしたものの、にっこりと笑って指を絡ませ、お互いの手のひらを握るような形にした。
罪に塗れた手と、血に汚れた手。
重ねて、体温を共有する。
「このまま、溶けてひとつになれたらいいのにな」
「そんなこと、出来るわけないじゃないですか」
その言葉にルークは、そうだ、出来るはずがないんだ、と自嘲気味に顔を歪めた。
そんなルークを見て、ジェイドはふっと微笑んだ。
「でも」
「?」
「ひとつになれないからこそ、いとおしいのでは?」
「ジェイド…」
ルークは繋がったてのひらを引き寄せて、その桃色の唇に自分の唇を重ねた。
そこからも体温が伝わって。
なんていとおしい、ぬくもり。
「好きだ…好きだよ、ジェイド」
「…私もですよ」
このぬくもりを手放したくない。
そう、思った。
title