文章♭

□飴色アイロニー
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※会話のみ
※微妙にネタバレ注意





「最近流行りの“恋愛ゲーム”ってあるだろ。とりわけ男性向けをギャルゲー、女性向けを乙女ゲーなんて言ったりするけれど。めだかちゃんは知っているかい?」

「CMで見たことはあるが、詳しくは知らんな」

「うん、そうだとは思ったけどね。要するに、ゲーム内の架空の人物との恋愛を楽しむシミュレーションゲームなのさ。話を読み進めて、コマンドで好感度をあげて、好みの相手とハッピーエンドを向かえる。恋のときめきに飢えた現代人のためのツールだよ」

「ほう」

「まるで『僕』の疑似体験? …まあでもそれってさあ、僕が感じているのと似ているようで、やっぱり違うんだよね」

「と言うと?」

「彼らはバーチャルにリアリティーを感じている。僕はリアルがバーチャルにしか思えない。ほら、似ているようで、方向は全くの真逆だ」



「………」

「…そうだな」



「わっ。…めだかちゃん?」

「バーチャルな恋人では、こんな風に抱きしめてなどくれないからな」

「……っ」

「今感じているこの体温は“リアル”だろう? 安心院さん」

「……まったく。きみの男前さには敵わないよ…」




END







Blue

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