文章♭

□アンノウンエネミー
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ふわりと浮き上がるように、目が覚めた。
ぼんやり天井を眺めながら、自分のじゃない布団の感触に少しくすぐったい気持ちになる。

穏やかな日曜日の朝。
俺は昨日から、阿久根先輩の家にお邪魔している。
学校で会うのももちろん悪くないけど、こうして二人きりで過ごせるのはとても嬉しい。

(…あれ?)

ふと、違和感に気がつく。
隣で寝ていたはずの阿久根先輩がいない。
慌てて起き上がって、だけど漂ってくる美味しそうな匂いに、先輩の行方を知った。

起きたときに隣にいてほしかった、って気持ちも確かに存在するけど、先輩の作るご飯は美味しいから許す。
なんて寝起き頭で考えながら、とりあえず服を着ようと腰を浮かせかけたとき、部屋のドアが開いた。

「あ、おはよう人吉くん。朝ごはん出来たよ」

俺はあいさつを返すのも忘れて、全ての行動を停止した。

「? あれ、まだ寝ぼけてる?」

寝ぼけてません。ちょっと残っていた眠気も、アンタの姿を見て吹っ飛びました。

「な、な、」

「な?」

首を傾げながら、先輩が近づいてくる。
やばいやばいやばい。その姿は、あまりにも刺激的すぎる。

阿久根先輩は自分の格好に頓着していない。
その格好の理由だって、たぶん『面倒くさかった』とかそんなことなんだろう。
でも、だからこそ俺が困るんだ。

「なんで、エプロン?」

「なんでって…油が跳ねたら危ないだろう?」

人吉くんだって、料理するときつけるよね?と不思議そうにしている。
それはそうなんだけど、俺が言いたいのはそういうことじゃない。
顔がひどく熱くなっているのを自覚しながら、声を絞り出した。

「どうして、裸エプロンなんですか…?」

素肌にエプロンだけを纏った格好。
身体を隠すのが薄い布一枚だけで後ろ姿はまるで無防備という、危うくも魅力的な姿だ。

「え、裸じゃないよ。ちゃんと下着は履いてるから大丈夫」

それは大丈夫とは言わない。
現に俺が全然大丈夫じゃない。理性が大ダメージだ。

そんな俺の内心なんてさっぱりわかってないのだろう。
阿久根先輩は俺に合わせてしゃがんで、顔を覗きこんできた。

「人吉くん?」

エプロンから覗く、胸元と太もも。
目線が下になったことで、それらをもろに見てしまう。
下着をつけていると先輩は言うけれど、そんなのは関係ない。
綺麗に均整のとれた肢体がエプロンだけに隠されて、所々がちらりと見える、その破壊力。

これは……やばい。

「顔が赤いけど、熱があるんじゃ…?」

「阿久根先輩、」

俺が立ち上がると、先輩も腰を浮かせた。
それを狙って、油断している身体をベッドに放る。

「うわっ!?」

やや乱暴になってしまったが、仕方がない。
そんな格好で俺を誘う、先輩が悪いんだ。

覆い被さって太ももに腰を押し付けると、びっくりした先輩が俺を静止させようと腕を伸ばしてくる。

「ちょっ、人吉くんっ」

「すいません先輩。我慢できないです」

「ご飯が覚めちゃうって、」

「何言ってるんですか。こんな状態じゃ朝飯なんて食べられませんよ」

だって昨日もしたのに、とか呟いてる先輩の腹を、エプロン越しに撫でる。
引き締まった筋肉の感触に、最後の止め金が外れた。

「責任、とってくださいね」

大丈夫、冷めたご飯はレンジでチンすればいいんだから。

終わったあとにどうやって先輩の機嫌をとるか考えながらも、今はただ目の前のご馳走にかぶりつくだけだった。



END




各方面にごめんなさいorz

まったく恥ずかしがらない先輩と、逆に照れまくる善吉が浮かんだので書いてみてしまいました。
ちょっと違うものになりましたね。善吉照れてないし。襲ってるし。

高貴ちゃんは肌を晒すことに抵抗がないから、こういう状況にもなっちゃうと思います(^^)←


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