文章♭

□モノクロ・アソート!〜集会編
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【注意書】
・お約束の色物ネタ。
・いちおう最終回後。
・祀栗+スミキリ+タケアル+しげひい+モト+数奇。
 この話のあと、カプごとに分岐します。





夕闇高校、生徒会室。
スミオと愉快な仲間たちが記憶を取り戻したせいで溜まり場と化したその部屋は、現在異様な空気に包まれていた。

「それじゃあ、君たちも…朝起きたら、そうなっていたんだね?」

円陣を組むように丸くなった中で栗須が声をあげると、何人かが同意するように頷いた。

「ええ、身支度を整えるために鏡を覗いて、驚いたわ…」

憂い顔のひいな。

「………」

不満気なキリヲ。

「びっくりしたけど、ちょっと面白いよね」

アルだけは、少しわくわくしているようにも見える。

「キリヲ君、数奇君、何か心当たりは無いのかい?」

「…無いな。そもそもこっちの世界にエニグマの力は存在しない」

「オイラもこんな怪異は聞いたコトが無いナ」

二人にわからないならば、お手上げである。

彼らに共通して起こった異変。それは――。

「でも皆、結構似合ってるよ? …その、猫耳としっぽ」

そう、四人の身体には、本来あるはずのないパーツが生えていたのである。
栗須は白、キリヲは黒で、アルは白地に黒のぶち模様、ひいなはシャム猫だ。
代わりに人間の耳が消失しているものの、髪に隠れて一見してはわからないだろう。

モトとしてはフォローのつもりだったのだが(もっともフォローとしては微妙である)、それを聞いたスミオが調子に乗る。

「だよなあ! ってわけでキリ、ちょっと撫でさせ――」

「さわんな」

キリヲに伸ばした手は、しなやかなしっぽに払い落とされてしまった。

((本当に猫みたい…))

他の面々が同じ感想を抱く中で、スミオはそれでも嬉しそうだった。

タケマルはフン、と鼻を鳴らして、ふと隣のアルを見下ろす。
猫の耳は、周りの音に反応して動いている。

「水沢。その耳、感覚あんのか?」

「うん、本当の耳と同じ感じ。ほら、自分で自由に動かせるんだよ」

タケマルの問いに答えて、アルは耳をぴこぴこと動かしてみせた。

「……っ!」

その様子にタケマルの頬が染まる。
彼が不覚にも萌えてしまったのは周囲に筒抜けだったが、突っ込む勇気のある者はいなかった。

「でも、これじゃあ授業に出られないですよね…」

「そうだな…」

ひいなを心配そうに見遣りながらのしげるの発言に、祀木も同意する。

「今日のところは一旦帰宅して、明日も戻っていなかったら忌束先生に相談してみよう。…いいですよね、先輩?」

「ああ、気は進まないけど、仕方ないな。じゃあ皆、気を付けて帰るんだよ」

誰かに耳としっぽを見とがめられれば、いらぬ騒ぎにならないとも限らない。
各々フードや帽子を被って、二人組で帰宅することとなった。

「灰葉スミオ、オイラと野球バカは言い訳しといてヤルよ」

「お、オレも?」

「おっ、ありがとな、数奇、モト!」

「貸しヒトツな」

「うん、わかってた。こうなることはわかってたよ…」

「ひいな先輩、あたしがついてますからねっ」

「ありがとう、来宮さん。心強いわ」

「ふふ、しげるちゃんとひいなちゃんは仲良しだね」

「クリス先輩も、ちゃんとコート着てください。僕が責任持って送りますから」

「なんだかんだで会長もクリスのことが心配なんだよな〜」

「うるさいぞ灰葉っ」


……ちなみに、生徒会室が何やら騒がしいことも、その大半が何故か帰宅したこともバレバレだったが、メンバーがメンバーなので誰も何も言えなかったのだった。



to be continued...




みんな大好きぬこみみネタ(←)、導入編でしたー。
こんなに登場人物の多いのは初めて書いたので大変でしたが、目標『一人一言以上は喋らせる!』は達成できたので良しとします。

何の集会かって、猫の集会ですよ(笑)


Blue

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