文章♭

□お約束展開
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今日のスケット団は平和そのもの。
ヒメコはヤバ沢さんに呼ばれたとかで遅くなるらしく、部室にはボッスンとスイッチのふたりだけだった。
依頼も無く、各々好きなことをして過ごしていた、そんなとき。

『痛っ』

突然あがった声に、ボッスンはスイッチを振り返った。

「どうした?」

『目に入った』

「は?メガネかけてんのに?」

『いや…睫毛が』

「あーそう」

睫毛が目に入った経験の無いボッスンは、どうせ俺は睫毛短いよこのイケメンめ、と心の中でよくわからない八つ当たりをした。
スイッチは眼鏡を外して眼をぱちぱちしていたが、とれないようで目の縁を擦り始めた。

「あ、こら、目が傷つくぞ」

こっちに来なさい、とボッスンが畳を叩くと、素直にやって来て腰を降ろす。
ボッスンの方を向いたスイッチは、どうだ?と言うように少し首を傾けた。
その仕草が少女めいていて、ボッスンの胸はドキリと音を立てた。

「ちょっと待ってろ」

スイッチの頬を両手で押さえて、やや赤くなった左目を見る。
瞬きするたび、睫毛が頬に影を落としている。

(やっぱ、睫毛長いんだなあ)

思わず感心してしまう。
先程は妬んでみたが、ボッスンはスイッチの細かいパーツが好きだった。
例えば指だとか耳だとか、瞳だとか。

間近で見るスイッチの瞳は、ボッスンを映して瞬いていた。

(……間近?)

はた、と。
ボッスンは、この体勢の危うさに気がついた。
畳に座ったスイッチの頬を、膝を立てたボッスンの手が包み込んでいる。
それはまるで――。

『ボッスン?』

焦れたスイッチに呼び掛けられて、ボッスンの肩は大袈裟に跳ねた。

『見えないか?』

「あ、わ、悪い。もうちょっと、」

本来の役目を果たそうと、慌てて身を乗り出したのがいけなかった。

『あ、』

急に体重をかけられてバランスを崩したスイッチと、畳に倒れこんでしまったのだ。
客観的に見たら、ボッスンがスイッチを押し倒したような形で。

「ごめっ、大丈夫か…」

「いやあ、遅なってしもたわ。ふたりとも、ヤバ沢さんからお菓子もろたでー、……」

まさにナイスタイミング。
がらりと開いたドアの先に、立ち尽くすヒメコ。

「………」

「………」

『………』

凍った空気に痛い沈黙が流れて。

「いやあああボッスンがスイッチ襲っとるううう!!」

「ごっ、誤解だああああ!!」

廊下を全速力で駆けていくヒメコと、ヒメコを必死に追いかけるボッスン。
残されたスイッチは。

『あ、とれた』

至ってマイペースだった。




END




そんな大声で走り回ったら大変なことになりますよー(笑)

ボッスンの無自覚片思いのようですね。
誤解は無事に解けたんでしょうか…(笑)


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