文章♭
□かわいいものは好きですか
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「浅雛」
椿くんの声に名を呼ばれ、顔をあげる。と、私の目の前に突き出されたのは、可愛らしい猫のマスコットだった。
「これは?」
「キミにやる」
やる、と言うので思わず両手で皿を作ると、その中にちょこんとマスコットが収まった。
「その、クジ引きで当たったんだが、ボクの趣味ではないから……浅雛はそういうの、好きだろう?」
確かにこういう可愛いものは好きだ。
私にくれると言うのだから、遠慮なくもらっておこう。
…どうやらそのほうが、彼のためにもなるようだから。
「ありがとう」
猫の愛くるしい表情に、自然と頬が緩んでしまう。
もう一度椿くんを見ると、彼の顔が真っ赤になっていることに気付いた。
「? どうかしたか?」
「な、何でもない」
明らかに何かありそうな挙動に首を傾げると、彼は背中を向けてしまった。
余程赤面したのを見られたくなかったらしい。けれど、耳が赤いのは隠しきれていなかった。
「……大事にしてくれよ」
こちらを向かないまま、椿くんがぽつりと言う。
言われなくてもそのつもりだ。だって。
(値札ついてるぞ、椿くん)
END
ベタな展開で申し訳ない\(^o^)/
でも、何でもない日にプレゼントができる男性は素敵だと思います。
Black