文章♭

□夢魔のくちづけ
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※15禁
















鍵はかけた。女子2人は用事があって来ない。よし。




夢魔のくちづけ




妙な焦りのようなものに突き動かされている、その自覚はある。
阿久根を机の上にうつ伏せの状態で組み伏せて、善吉はこくりと唾を飲み込んだ。

(綺麗、だよなあ…)

着痩せする性質なのか一見細身に見えるが、実際はしっかり筋肉がついている。それも含めて、扇情的だと思う。

「人吉くん?」

状況に処理が追いつかないのか、阿久根は頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。
しかし、善吉の手がシャツの裾から侵入すると流石に意図に気づいたようで、肩ごしに抗議を始めた。

「ちょっと、人吉くんッ。こんなところで…、ン」

素肌に手が這う感覚に、いちいち震えるのが可愛らしい。
所々を愛撫しながら、目的の場所を目指す。

「ここがどこだかわかっているのかっ」

「生徒会室でしょう」

「誰か来たら…」

「来ませんよ」

テンプレートな言葉の応酬の最中に、善吉は考える。

阿久根は校内で、それも生徒会室で事に及ぶ、ということに難色を示しているらしい。
それもそうだと思う。
が、善吉は引けなかった。

だって、今、彼が欲しいのだ。

「ね、阿久根先輩……今は俺だけ見て」

耳元で囁けば、阿久根はびくんと身体を震わせて、おとなしくなった。

「……しょうがないな。今回だけ、だからね」

かわいげのある台詞ではなかったけれど、善吉は顔を綻ばせた。

(だって先輩、耳まっか)

『お許し』が出たところで、手を深くまで潜りこませ、ふたつの粒を探りあてた。
控えめなそれは、善吉の努力の甲斐あって立派な性感体になっている。

「ひッ、あ、」

軽く摘んだだけで震える敏感な反応に、善吉の嗜虐心が煽られる。
押し潰してみたり、弾いてみたり、かと思えば周りを焦らすようになぞってみたり。

阿久根の下半身がとっくに反応しきっているのは知っているが、あえてそこには触れないまま。

「ふあ…っ」

芯をもった粒を捏ねながら、赤く染まったであろうそこを見られないことを、少し残念に思う。
が、体勢を変える気は無いので、せめてもと耳朶に吸いついた。

「あッ、や……!」

身を捩って快楽から逃げようとする阿久根だが、いくら胸を机に擦り付けても善吉は逃げることを許してやらない。

「あぅ、あ、も…いやだ、…これじゃ、…ッ」

知っている。どうすれば阿久根が絶頂に達するかなんて、もしかしたら本人より詳しいかもしれない。
だけどあえて。

「……どうしてほしいんですか」

随分と意地の悪い質問だな、と善吉は自分で思ったが、熱に浮かされた阿久根は素直に唇をひらく。


「きみが、ほしい…――」


その至ってシンプルな懇願は、強大な破壊力をもって善吉を揺るがした。

(くそっ…反則だ!)

衝動のままうなじに噛みつき、短く啼いた阿久根を反転させ、覆い被さった。

「…ひ、とよし、く――?」

息も絶え絶えな阿久根を見下ろして、善吉は笑んでみせた。

「仰せのままに」

だけどとりあえずキスからだ、と。
いつも善吉を振り回すその唇を、塞ぎにかかったのだった。




END






優位に立ったつもりでも、先輩のたった一言でひっくり返されちゃう、正しく惚れた弱みな善吉くん、の話でした。笑



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