文章♭

□フリージアの微笑
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※白石家にお泊まり。
※ちょっとだけ注意?







金太郎が風呂からあがって白石の部屋に戻ると、彼はソファーに座って携帯電話を弄っていた。
先に入浴した白石の髪はまだ湿っていて、いい匂いがしそうだな、となんとなく思った。

「白石ぃ、あがったでー」

「ああ金ちゃん、ちゃんと暖まったか?」

「バッチリや!」

一旦金太郎に向いた視線は、会話が終わるとまた携帯に戻されてしまった。
それがなんだか面白くなくて、しかしここで騒げば白石の機嫌を損ねるのは明白だったので、別の形で発散することに決めた。

金太郎は白石の隣には座らず、彼の足元に、まるで主人に懐く犬のように座った。
そしておもむろに白石の片足に抱きつく。ハーフパンツから覗いた膝が、ほんのり桃色になっていた。

「金ちゃん? どないしたん」

「……かまってほしいねん」

「…、ちょお待ち、今打っとるメールだけは送っときたいねん」

聞けば、明日の授業で必要な連絡なのだと言う。
ごめんな、とまっすぐ金太郎を見つめながら謝ってくれる瞳に、もう面白くない気持ちは消えていた。

「ええねん。終わるまで待っとる」

白石は目を細めて、金太郎の頭をくしゃりと撫でた。それが嬉しくて、膝に頬を擦り寄せる。

(白石って、脚もキレイや)

キメ細かい肌は滑らかで、触り心地がいい。なおも頬を擦り付けると、白石が「金ちゃん、犬みたいやで」とくすくす笑った。

そうかもしれん。金太郎は思う。

最初はただ単に、構ってくれない白石にじゃれつきたかっただけだった。しかし、しなやかな脚を抱いているうちに、何故だか――舐めたいな、と思ってしまったのだ。

白石は携帯画面を見ていて、金太郎の動向には気を配っていない。
怒るかな、と考えつつも。

「ひあ!」

膝頭をちろりと舐めると、白石から可愛らしい声が漏れた。期待以上の反応に、金太郎はさらに大きく舌を動かす。

「ちょ、金ちゃん…!? ぁ…っ!」

形を確かめるように舌を這わせると、白石の体がびくんと跳ねる。

(なんやえっちなことしとるみたいや…)

もちろん、金太郎は意図してやったわけではない。
けれど実際、白石の反応はだんだんくすぐったさに対するものだけではなくなっていく。

「は、んっ…」

ゆっくり舐め上げて、軽く吸う。徐々に吐息の甘さが増していくのがわかる。
ふと白石の手が、金太郎の髪をゆるく掴んだ。

「金ちゃん…」

顔をあげると、頬を上気させ、瞳を潤ませた白石がいた。その艶めかしさに、知らず唾を飲み込む。

「待つって言うとったんに……しゃあない子やね」

薄い唇が緩く弧を描く。
それは金太郎の行いを許す言葉だ。

金太郎は白石に覆い被さり、その唇を奪った。白石の髪からはやはり甘い匂いがして、金太郎はこっそり笑みを零したのだった。



END




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フリージアの花言葉(諸説あり)
黄…無邪気
白…あどけなさ
紫…憧れ
濃紫…親愛の情

内容とは全く関係ないけど、なんとなく金ちゃんが思い浮かんだので採用。



Black

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