文章Θ

□もしも彼が○○だったら
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※タイトル通りの話。



客観的に見て、ボクの顔は一瞬で真っ青になったことだろうと思う。

「どうしてそんなこと言うんスかっ!!」

意外に思われるかもしれないが、黄瀬君と喧嘩をするのは珍しいことではない。
確かに黄瀬君はボクに大概甘いけれど、割と我は強いから譲れないことは譲らない。
でも、それでいいと思っている。
従順なだけの恋人がほしいわけじゃないし、彼がそうやって本音でぶつかってくるのは気を許している証拠なのだ。

だから、問題はそこじゃない。

彼が手のひらを叩きつけたテーブル。
木と金属でできたそれが、大破していたのである。

「………」

「確かにオレ、アタマは良くないっスけど、でも、」

「…あ、あの、黄瀬君?」

「だからって…、なんスか?」

ボクの様子がおかしいとわかったのだろう、怒りを収めてきょとんとした表情を向けてくる。
それ、とテーブル(だったもの)を指差すと、黄瀬君は「あ!」と声をあげた。

「ご、ごめんなさい!机、壊しちゃったっス!」

そうですね、見ればわかります、と現実逃避気味に考えながら、慌てる黄瀬君を見つめる。
反応を見る限り、これが初めてというわけではなさそうだ。

「…黄瀬君って、そんなに怪力でしたっけ?」

でも体力テストの結果だって、飛び抜けて力が強いわけじゃなかったはず…と首を傾げると、黄瀬君が恥ずかしそうに頬を掻いた。

「いや…実は小さいころからなんスけど、感情がすごく高ぶったときだけ怪力になっちゃうみたいで…」

特異体質。そんな単語が頭に浮かんだ。

「黙ってて、スイマセン。…やっぱ、嫌っスよね、こんなの…」

黄瀬君が悲しげに俯く。
もしかしたら、過去に何か言われたことがあるのかもしれない。
喧嘩しているときは、自分も相手も冷静さを欠いているものだから。

「嫌じゃないです」

「、黒子っち…?」

「その程度のこと、キミを嫌う要因にはなりません」

そう、確かに驚いたけれど、それだけだ。
むやみに暴力を振るうわけではないし、彼自身は何も変わらないのだから。

「…さっきは、すいませんでした」

「えっ、」

「頭にきたとは言え、言い過ぎました。ごめんなさい」

「や…!元はと言えば、オレが悪いんだし、」

これもまた、いつものこと。
どちらかが謝れば、相手はそれを許し、自らも謝る。だから仲直りは早い。
割合としては黄瀬君が折れることが多いにしても、小さな喧嘩が尾を引くことはほとんど無い。

黄瀬君に向かって表情を和らげて見せれば、彼の瞳が大きく揺れた。

「黒子っち……ッ」

感極まった黄瀬君が抱きついてくる。

「ありがとうっ!!」

大好き!と言ってしがみついてくる様は可愛らしい。素直な感情表現は彼の大きな魅力。
これだから、どんなに喧嘩しても、特異体質だったとしても、嫌いになれないのだ。

……目下の問題は、この腕からどうやって抜け出すか。
軋む体は、早くも悲鳴をあげていた。




END





怪力萌えした結果。
でも普通は、か弱げな女の子に付与される萌え要素だよね…(笑)
俺得ですいません(^ω^)


Blue

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