文章Θ

□こいぬのワルツ
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※アレックスさんはまだいません。




火神に告白されて、オレも好きだって返して。
晴れて恋人同士になってからというもの、火神の家にお邪魔する機会が増えた。
ばあちゃんは火神のことを気に入ってくれていて、いつも笑顔で送り出してくれる。
たまにはうちに呼んでもいいよって言われるんだけど、それは曖昧に受け流している。火神が。

それはまあ、なあ?
二人きりになれる火神ん家のほうが、いろいろしやすい、し?

オレより火神のほうが焦ってたから、つまりそういうことなんだと思う。


――火神は、優しい。


例えば、食事の最中に薬味が無いことに気がついて立ち上がろうとすると、「座っててください」とか言って代わりに取ってきてくれたりする。
「別に平気なのに」って笑ってみせるけど、膝を気遣ってくれてるんだなってわかるから、内心はすごく嬉しい。

一つ一つはささやかなことだけど、それが自然に出来るのはすごいことだと思う。

だからベッドに並んで座ったときに、言ってみたんだ。
「火神は優しいなあ」って。

「は?」

火神は目を見開いて、頬を赤く染めた。

「なんスか、急に?」

「急じゃないさ。いつも思ってたんだ。気遣ってくれてただろ?」

「それは…」

照れてしまったのだろう。
俯いて表情は隠せても、淡く染まった耳は隠せない。

火神は手放しで誉められたり感謝されたりすることに慣れてなくて、照れると拗ねたような顔になる。
そういうとこ、結構好きだ。

「…あたりまえ、だろ」

「え?」

ベッドについていた手をぎゅっと握られて、思わず火神を見る。
視線を伏せたままの火神が、ぶっきらぼうに言葉を紡ぐ。

「好きなやつに、オレのこと好きでいてほしいと思ったら、優しくすんのは当たり前だろ。…です」

合わない視線。だけど、強く握られた手は離されない。

「…はは。やっぱり火神は優しいんだな」

「っ……、アンタがそう思うなら、もうそれでいいよ…」

子どもみたいに唇を尖らせる火神がかわいくて、こっちを向かない横顔にキスをした。
そうしたら視界が反転、オレはベッドに押し倒されていた。

「……誘ってんの?」

余裕のない表情。
そんなつもりはなかったけど、ま、かわいい火神に“お預け”させるのも本意じゃないし。

「お手柔らかに、」

その答えは、降ってくる熱いキスだった。



END




かがみんは帰国子女のわりには感覚が日本人寄りですよね。まあそこが彼の持ち味なわけですが。
天然ボケ男に思う存分振り回されるといいさ!(笑)


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