文章Θ
□like a cat
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青峰は猫みたいやな、と言われた、ある日の学校。
それに答えたのは言われたオレじゃなくて、1コ上の(いつも突っ掛かってくる)センパイだった。
「ネコぉ?…猫科の猛獣、の間違いじゃないっすか?」
「そうかのぉ。気まぐれなとことか、ふらーっと来てふらーっといなくなったりするとことか、そっくりやと思うんやけどなぁ」
「あー…オレとしては猫よりチーターとかヒョウとかのが嬉しい感じ」
「あ、黒ヒョウだったらピッタリじゃね?」
「ああ!」
「確かに!」
「……んー?」
他のヤツらが納得した顔で頷きあう中で、今吉サンはまだ首をかしげていた。
――それが、数日前の話。
「……今吉サン」
「何やー?」
気の抜けきった返事をする先輩は、こちらを向きもしない。と言うか、視線が雑誌から動かない。
ここは彼の部屋なので、まあどう過ごそうと勝手だとは思う。
けど、恋人(オレ)が来てて、更にソイツが暇してるのに、それを放置ってのはどうなんだ。
「暇なんだけどー」
「んー…課題とか出とらんの?」
なんでそうなる。
好きなヤツと二人きりって状況で、おもむろに勉強しだすようなキャラに見えるのか。
(……ったく、)
甘えたいときは最大限に甘えてくるくせに(まあ今吉サンの場合は甘えるっていうよりじゃれるって感じだけど)、そうじゃないときは見向きもしないんだ。
ベッド上で腹這いになってる彼の尻から、ひょこんと黒い尾が生えているような錯覚さえする。
まあ、こんな姿は他の…例えば部員とかがいるときには見られないから、一種の優越感が無いとも言いきれないけど。
でもさ、そろそろ構ってほしいんだ。
「今吉サぁン」
ベッドに乗りあがって、うつぶせの今吉サンをころりと転がして仰向けにする。で、びっくりしてる彼に覆い被さる。
「…青峰?」
「そろそろ雑誌じゃなくて、オレを見ろよ」
頬を舐めたら、やっぱり青峰は猫みたいやなあ、とくすぐったそうな笑みを浮かべて言う。
――それはこっちのセリフだ。
END
どっちも猫科っぽいよね、というお話。
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