文章Θ
□Stay by my side/yellow
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イルミネーションを見に行かないか、と黒子っちを誘ってみた。
ピークは外しているし、気にするほど人はいないだろうと思って。
黒子っちは渋るかな、と思ったけど、案外あっさりＯＫをもらった。
「わー、キレイっスねぇ！」
金や銀をメインに、いろんな色のライトが夜を彩っている。
まるで知らない世界に来たみたいでドキドキする。
──イルミネーションを恋人と見るっていうのは、冬の定番のデートだと思うけど。
ちらりと隣の黒子っちを見る。
色素の薄い黒子っちは、光に照らされるとその色に染まる。それが新鮮に思えて笑みがこぼれた。
黒子っちもまんざらじゃないんだと思う。見た目にはあんまり変わんないけど、心なしか雰囲気が柔らかいように見えるから。
１人で見たってちゃんと綺麗なんだけど、黒子っちと見ると夢みたいに輝いて見える、なんて。
（我ながら、夢見すぎ？）
２人とも黙ったまま、しばらく歩く。
沈黙の心地よさは黒子っちと付き合って初めて知った。こんな風に並んで歩くだけで満たされるなんて、今まで無かったことだから。
…ってぼんやり考えてたら。
「黄瀬君」
オレを思考から引き戻すみたいに名前を呼ばれて。
「なに、？」
ぐっ、てひっぱられた。んじゃなくて。
「ほへっ？」
気がついたら、手と手が繋がってた。
しかも、いわゆる恋人つなぎ。
変な声が出ちゃったのは、予想外だったから。
だって黒子っちが自分から、しかも人前で手を繋ごうとするなんて。
「黒子っち？」
「……はぐれたら、困りますから」
そっぽを向きながら言うけど、それが口実なんだってわかる。
はぐれるほど人なんていないし、不貞腐れてるみたいな表情は照れてるからだろう。
たぶん赤くなってるんだろう頬は、暗いせいで確認できないんだけど。
かわいいけど男前な黒子っちの、かわいいとこ。
「…へへ。うん」
かわいい、と嬉しい、が一緒くたになって、なんかムズムズする。
きっとだらしない笑顔になってるんだろうなぁって思うけど、ゆるんじゃうんだからしょうがない。
──もうちょっと、このまま。
ベンチに座ろうって提案しようと思ってたけど、予定変更。
すぐ放しちゃうのはもったいないから。
ああ、手が繋がっただけなのに、こんなにあったかいなんて。
END
反省点：黄瀬がどきどきしてるだけの話になってしまった＼(^O^)／
Blue