文章Θ
□7月7日
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※七夕パロで、織姫×彦星。
いつ見ても不思議な光景だ、とアスランは思う。
普段は立っていることさえ困難に思えるほど急で激しい流れが、この日ばかりは静かになり、ゆるいアーチの橋がかかる。
そして、その橋を渡ると。
いとしい恋人が、アスランの来訪を待っている。
「アスランっ!」
「…キラ」
銀の髪飾りと薄桃色の羽衣、そして裾に向かって薄青から藍色へと変わる着物を纏い、キラは微笑んでいた。
「よかった、今年も来てくれたんだね」
「何言ってるんだよ、当たり前だろ?」
「…うんっ」
本当に嬉しそうに、キラが笑う。
その笑顔を見ると、アスランは一年間降り積もった寂しさが和らぐのを感じるのだった。
「キラ…逢いたかった」
アスランがキラに向かって手を伸ばすと、キラがその手を取ってアスランを引き寄せ、ふわりと抱きしめた。
「僕も、逢いたかったよ…アスラン」
一年ぶりのお互いの体温はとても心地よくて。
キラの背に腕をまわし、アスランはうっとりと目を細める。
自分を抱きしめる腕の力が強くなったのを感じて、自然と笑みが浮かんだ。
と。
「――え?」
気が付けば視界が反転しており、アスランの躯は草の絨毯へと押し倒されていた。
キラが上に覆い被さって、悪戯が成功した子供のような表情で笑っている。
「アスランって、ホント無防備だよねぇ。ちょっと心配なくらいだよ」
ちゅ、と音をたてて、頬に口付けられる。
それでようやく状況を理解したアスランは、一瞬で顔を真っ赤に染めた。
「ちょ、ちょっと待て、キラ!お前、何をするつもりだ!?」
「何って…、久しぶりに逢った恋人同士がすることなんて、ひとつしかないでしょ…?」
甘い声で囁かれて、思わず身震いしてしまう。
一年ぶりの逢瀬、ということは、当然触れ合うのも一年ぶり、なのだ。
躯が敏感になってしまうのも、仕方のないことなのかもしれなかった。
しかし、それとこれとは別問題である。
流されてはいけない、とばかりに、アスランはキラを睨みつけた。
(ちなみにもちろん逆効果、である)
「ここをどこだと思ってるんだッ」
「え?…ああ、大丈夫だって。こんなとこ、誰も来ないよ」
「そういう問題じゃ…ぁッ」
耳朶に唇で触れられて、小さな喘ぎが漏れてしまった。
慌てて口を押さえるが、キラが聞き逃しているはずもなく。
「ふふ、かわいいね、アスラン」
紫の瞳が、熱を孕んでアスランを射抜く。
いつの間にか着物の合わせがはだけられていて、アスランは血の気が引くのを感じた。
「キ、キラ…っ」
「一年逢えなかったぶん、たくさん愛してあげるよ…」
(ああああ……ッ)
降りてくる唇を、避ける手立ては無く。
回避出来ないことを、悟ってしまったのだった…。
「てかちょっと待て、俺が彦星だろう!?なんで織姫のキラに押し倒されなきゃならないんだ!?逆だろう、普通!!」
「君に逆が出来るわけないでしょ?」
「――!!」
終わっちゃえ。
どう考えてもふざけすぎである。
でも女装攻めはオイシイと思うんだ…!(活かせてないけど)
→おまけ