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□ふたりの休息
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開いていた窓から風が流れ込んできた。
私は自分の髪を手で押さえて、ふとマリアさんに視線を移す。
私の目の前、ベッドに腰掛けて本を読んでいる彼女の蒼い髪も揺れていた。
ふと衝動に駆られ、ふわふわとなびく髪を一房、捕まえた。
「…ソフィア?どうしたの?」
その問いに私は答えず、手に取った彼女の髪に唇を押し当てる。
びっくりしたようなサファイアの瞳が綺麗だと思った。
マリアさんの髪の毛にはちょっと癖がある。マリアさんは私の真っ直ぐな髪が羨ましいと言うけれど、私はマリアさんみたいに癖っ毛なほうが可愛いと思っている。
結局のところ、無いものねだりなんだとは、お互いわかっていることなんだけど。
髪を手放して、手を頬に滑らすと、マリアさんがくすくす笑った。
「くすぐったいわ」
その笑顔が可愛くて、私は彼女の瞼にもキスをした。
それからぎゅっと抱きしめたら、細い腕がそっと抱き返してくれた。
…すごく、幸せ。
嬉しいから、とびっきりの笑顔をプレゼントしちゃう。
「マリアさん、大好き!」
マリアさんは目元を赤く染めて、私もよ、と言って微笑んだ。
END
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