文章♯

□あまくとろけた、
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※えろす














自分の爪が皮膚に食い込み傷つける感触に、ヒスイははっとした。すると覗き込んでいたシングとばっちり目が合ってしまったが、今の彼にそれを気にする思考は存在しなかった。

「…ヒスイ? どうしたの?」

シングに優しい声で問われると同時、躯の内側に甘い痺れが走る。
それが意地悪だとか、故意になされたものなら悪態のひとつも吐けるのに、まったくタチが悪い。

と、常ならそんな思考が働くものなのだが。今は一つのことが頭を占めていたせいで、正常に回らなかった。

「…や、またやっちまったなと思って、よ」

「何が?」

シングが本当にわからない、という顔でこちらを見つめるものだから、蕩かされているときとは別の意味で、居たたまれなくなってしまう。
ふい、と目を逸らすと視界の端でシングが首を傾げた。

「……爪。痛ェだろ」

シングの熱を受け入れた瞬間、縋りついた手は思わず爪を立ててしまったのだ。何度体を重ねても、毎回同じことをしてしまう。
種明かしをしてやるとそれで合点がいったようで、シングがああ、と声を出す。

「いいって言ってるのに」

ちょっと傷がつくくらい。そうシングが言っても、ヒスイは納得がいかない。

「そうは言っても――」

目線をシングに戻すと、何やら嬉しそうな瞳とかち合った。勢いを削がれて、反論する気が失せてしまう。

「……何だよ?」

「いやあ、愛されてるなぁ、と思って」

「はあっ?」

ヒスイがなに言ってんだコイツ、と言わんばかりの顔をしても、シングはニヤけるばかりだ。

「だってさ、」

シングがゆっくり動き始める。忘れかけていた熱が急に主張を始めて、ヒスイは小さく悲鳴をあげた。

「そうやって爪を立てるってことは、ヒスイがちゃんと感じてくれてるってことだろ? 俺、嬉しいよ」

押し寄せる快感に、感じた羞恥は言葉にならずに霧散していく。

「あ、あ、やぁ! ばかシング…っ」

どうにか口にできた非難でさえ笑顔で受け止められてしまえば、もうなす術はなく。
快楽の波にさらわれ、溺れていった。



END




削ったらツンがどっか行ってしまった/(^O^)\



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