文章♯

□Confession
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*旧本館拍手ログ





「好きだ」

赤毛の少年から放たれた言葉に、一瞬理解が遅れた。

「えーと、ルーク? 今なんと?」

「だから、ジェイドのことが好きだ、って言ったんだよッ」

幾らか顔を赤らめながら、彼は再度その言葉を口にした。

好き?
ルークが、私を?

「……私も、嫌いじゃありませんよ」

「そうじゃなくて!!」

穏便に済ませようとした私の努力は無駄に終わったらしい。

腕を掴まれ、ぐっと引き寄せられる。

気が付けば、私の体はルークの腕の中にあった。

「俺の『好き』は、こうやって抱きしめたり、キスしたりしたい、っていう『好き』だよ。…わかるだろ?」

その言葉と共に、抱きしめる腕の力が強まる。どうやら彼は本気らしい。

無論、解らないわけではないのだが。

「ルーク。知っているとは思いますが、私は男ですよ?」

それも三十代半ばの。

そう諭しても、ルークは困ったような顔をして、こう言うのだ。

「だって好きなんだ。しょうがないだろ」

それが本当に真摯に訴えてくるものだから、始末が悪い。
思わず、その額にデコピンをかましてしまった。

「痛ッ!何すんだよ!」

「…もっと大人になってから、出直してきなさい」

緩くなっていた拘束から抜け出して、私はルークに背を向けた。
…これ以上見つめ合っていたら、陥落してしまうのは時間の問題だ。

「絶対、男前になって、ジェイドをオトしてやる!!」

待ってろよ!!と吠えるルークの声は、聞こえないふりをした。


嗚呼、どうしよう。
あの碧の双眸に、既に囚われてしまったのかもしれない。





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