文章♯
□comedy
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*旧本館拍手ログ
俺の平穏な朝はどこへ。
comedy
「ジェイドに耳が生えた!」
ガイ、ガイ、聞いてくれよ!と叩き起こされたと思ったら、おはようもなくこの台詞。
…『耳が生えた』ぁ?
「おいおいルーク、寝ぼけてんのか?耳なんてもともとついてるじゃないか」
そう言ってやると、ルークはそうじゃなくて!と叫ぶ。
…寝ぼけてるわけじゃなさそうだ。
「そうじゃなくて?」
「そうじゃなくて、違うのが生えてるんだよっ」
どうにも要領を得ない会話に、核心を突こうと俺が口を開くと同時に、部屋のドアが、どう考えても暴力的に開かれた。
「あなたたち、朝っぱらからうるさいわよ!」
いや、それを言うなら今のドアの音も十分うるさかったと思うんだが…。
しかも、『たち』って…俺も一括りにされてるわけか?
内心でツッコミを入れていると(本人に突っ込めないのは怒った彼女が恐いからではない。断じてない)、ルークが彼女に駆け寄った。
「ティアも聞いてくれよ!ジェイドに耳が生えたんだ!」
「ルーク、落ち着いて。それじゃ何があったのかわからないわ」
冷静なティアの反応に、ルークも少し落ち着いたようだった。
そこへタイミング良くアニスとナタリアも顔を出す。
「どうしたのー?」
「大佐がどうかしたんですの?」
…話題の人物以外、全員集まってしまった。(あ、ミュウもいないか)
こう人数が増えると、廊下を塞ぎかねないし、それに立ち話も何なので、皆に部屋に入ってもらった。
「それで?ルーク。大佐に耳が『生えた』って、どういうことなの?具体的に説明してちょうだい」
皆の視線が集まると、ルークは若干身じろいだ。
冷静になってみて、騒ぎ立てたことを恥ずかしく思ったんだろう。
「だって、本当に生えたとしか言いようがないんだ。夜寝る前には無かったし…」
ちなみに、昨夜は所持金に余裕があったから全員個室を取ることにしたのだが、ルークは『ジェイドと一緒がいい!』とごねた。ジェイドもそれを拒否しなかったから、二人だけは同室になっていた。
理由は…まあ、そういうわけで。
「みんなも見てみればわかるって!ジェイドの頭に、」
「やあ、皆さん。おはようございます。どうかしたんですか?」
俺達は声のした方向を向いて、固まった。ルークが「な?」と言ってきたけど、そんな場合じゃなかった。
「うわ」
「まあ」
「……可愛い」
女性陣は三者三様の反応を示している。
いやまあ、確かに『それ』は『可愛い』と言われる部類に入るものだろう。けど。
「だ、旦那、それ…」
俺が声を絞り出すと、ジェイドは『それ』を事も無げに触って。
「ああ、ちょっと実験に失敗してしまいまして」
…はい!?
突っ込み所が多すぎて、俺はもう「そうですか」としか返せなかった。
ジェイド・カーティス大佐の頭には、紛う事なきウサギの耳が出現していた。
続く?
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