文章♯

□deep darkness
1ページ/1ページ

※この作品は18禁とさせていただきます。
※暗い話。
※クラトスさんが黒い(?)。











暗い部屋に、荒い息遣いが響く。
寝台の軋む音と、卑猥な水音。時折漏れる嬌声。

偽りに満ちた空間で、少年は甘い蜜に溺れる。




deep darkness




今宵もロイドは私を抱く。
私から返るのが偽りの『愛情』だとも知らずに。
抱き返す腕も、嬌声の合間に時折漏れる愛の言葉も、全てが嘘。
心の中で、この行為を、そして彼を嘲笑った。


私には、『息子』に対する愛情しかない。
決して恋愛感情など持ち合わせてはいないのだ。

それでも行為を受け入れるのは、一種の諦め。
拒んだところで、ロイドの私を見る目は変わらないだろうから。

だから、抱かれる。

抵抗が無かったわけじゃないけれど、『息子』のためだと思えばどうにでもなった。

「クラトス、クラトス…っ、愛してる…!」

「は、あァっ…!私、も…あ、いしている、ロイド…!」

その言葉の意味が食い違っていることにも気付かずに、ロイドは嬉しそうに笑い、律動を速める。
慣らされた身体は快楽を感じて熱くなるが、心は冷めたまま。


嗚呼、笑えてくる。

こんな性交に、意味など無い。
私の中にまかれた種は、芽吹くことなく死を迎える。
本来なら子を生みだすためのこの行為は、何も生みだすことは無い。
言ってしまえば、まったく不毛の行為なのだ。

それでも、息子は私を愛してしまっている。

嗚呼、哀れな子供。

「クラトス…っ、一緒に、イこう…!」

「ぁうっ、ロイド…!ひァ、あぁぁ…ッ!!」

私はロイドの手の中に。
そしてロイドは、私のナカに、それぞれ欲望を吐き出した。


アイシテル、と囁きながら、ロイドは私を腕の中に収める。
その言葉の、なんて空虚に響くことだろう。

それで『私』を手に入れたつもりなのだろうか。彼は嬉しそうに笑って私の顔に口づけを降らした。



この行為がもたらすものは悲しみでしかないのに。
どうしてロイドは私を抱くのだろう?
…どうして私は受け入れるのだろう?

ロイドを、そして自分を、嘲笑った。



END



##PAGE1##

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ