文章♯

□Expression of his love
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ひたいに。
まぶたに。
ほおに。
そしてくちびるに。

ひとつひとつ、愛しさをこめて口づける。

それは誓いの儀にも似ていた。





Expression of his love





最近のルークはやたらとジェイドにキスをしたがる。
さすがに皆の前ではしないが(譜術の餌食になることを予測して、だ)、宿屋の部屋の中に入ると、たががはずれたようにジェイドに口づけを落とす。

今だって、部屋に入るなりしがみつくようにしてベッドに押し倒し、キスの雨を顔中に降らせている。

そっと唇を重ねたあと、もう一度、今度は深く重ね合わせる。

「ふっ…んぅッ」

ピチャ、クチュと水音が部屋に響く。
それは羞恥と共に興奮を煽った。

舌を甘噛みしてから唇を離すと、二人を銀の糸が繋いだ。

「はぁっ…はっ…」

ジェイドを見やると、彼は肩で息をしていた。淡く染まった頬に、潤んだ赤い瞳が扇情的で、ルークは思わずごくりと喉を鳴らした。

するとジェイドがくすりと笑った。

「欲情、したのですか?」

「ぅ、わ、悪かったな」

ジェイドが色っぽすぎるのがいけないんだ。

そう拗ねたように言えば、よしよし、と頭を撫でられた。

「子供扱いすんなッ」

まったく、組み敷いているのはこちらだというのに、この男は何故こんなにも余裕なのか。
年の差を見せつけられているようで、何だか悔しくなった。

ジェイドの軍服の前をはだけて、露になった白い首筋に口づけ、そのまま強く吸い上げる。

「んぅッ…!」

白磁の肌についた所有印に満足して、ルークはそこをぺろりと舐めた。

「ルークっ…」

「ついたよ。俺のだっていう印」

綺麗、花びらみたいだ、と言うと、ジェイドの顔に朱が走った。

「あ、照れてる」

「…うるさいですよ」

その言葉と共に頭を引き寄せられ、今度はジェイドからのキス。

唇が離れると、ルークはにっこりと笑ってジェイドの髪を梳いた。


愛しくて。
愛しくて仕方なくて。

誰にも、渡したくなんかない。


「ジェイド…」

梳いていた髪を一房手に取って、それにもキスを落とす。

「好き……好きだよ。ジェイドが、すごく好き」

本当は、もっとたくさん伝えたい想いがある。
それなのに、出てくるのは稚拙な言葉ばかりで。

ひどく、もどかしい。

「…なぁ、ジェイド。俺の気持ち、ジェイドにちゃんと伝えられてるかな?こんな言い方しか出来ないから、伝わらないんじゃないかって、不安なんだよ…」

格好悪いよな、俺。

すると、ジェイドの手が、ルークの頭をぽんぽんと撫でた。

「馬鹿ですねぇ」

「なっ!?」

ルークは心外だと顔をあげた。
きっと、ジェイドは意地の悪い笑みを浮かべているのだろうと。

しかし、予想に反して、目の前のジェイドの顔は、綺麗に微笑んでいて。
面食らってしまった。

「伝わっていますよ。そんな言い方、でいいんです。だってそれが貴方の一番正直な気持ちなのでしょう?」

「う、うん」

ジェイドが柔らかな笑みを浮かべていることなんて滅多にない。
あまりの美しさに、呆けたように見とれてしまった。

「だいたい、言葉で伝えられることなんて、一部分でしかないんです」

だから、言葉にできなくてもいいんですよ。

その言葉に、ルークは情けないくらいに破顔した。

「…ありがと、ジェイド」

「いいえ。あまりうじうじされていると、こちらが困りますからねぇ」

「……ぅ、悪かったな」

こういうとき、やはり彼は大人で、自分は子供なのだと思い知る。
だけど、それは何故か不快ではなくて。

「ジェイド…大好き」

背中にまわされた腕が、たまらなく愛しく感じた。



END



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恐れ多くもジェイド受けMMアンソロに投稿した話でした。



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