おだい
□キスに関する10のお題
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01.レモン味
「なぁヴェイグ、ファーストキスはレモンの味なんだってな」
シャワーを浴びてベッドに横になった時に唐突に言われて、ヴェイグは怪訝そうな顔をした。
「突然何だ」
「いや、アニーから聞いたんだけどさ。本当なのかなーって思って」
アニーの好きそうな話だ。
彼女は年頃の女の子らしく、恋愛関係の話が好きだから。
そんなことを考えていると、ティトレイがベッドに近寄ってきた。
「だからさ、させて?」
「…何を」
「キス」
「……嫌だ」
試したいんだったらアニーとでもすればいいだろう、と吐き捨てて眠りに落ちようとしたヴェイグだったが、急に体に重みがかかってそれは叶わなかった。
薄めを開けると、案の定、ティトレイが馬乗りになっていた。
「ティトレイ?」
「なぁ、おれのこと嫌いか?」
「…別に嫌いじゃないが」
「ならいいだろ?」
「な…」
何を言ってるんだ、と言おうとしたが、その前に唇をティトレイのそれで塞がれた。
了承してない、と怒るより、不快感を感じない自分に驚いて。
「………」
「………」
唇が離れても、二人はしばらく見つめ合っていた。
「…レモンの味は、しなかったな」
「…ああ」
「それより甘かった」
「…っ」
無性に恥ずかしくて、早く寝ろ、と装飾品の無い頭を叩いた。
叩かれたのに嬉しそうに笑うティトレイを見て、羞恥と呆れがこみあげてきたが、不思議と嫌な感じはしなかった。
「なぁ、一緒に寝てもいいか?」
「…勝手にしろ」
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