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□不器用なレンアイ。
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あたしが好きな人はめっちゃ俺様で、いつだって髪型決まっとるし自信の塊みたいな男。
エスカレーター式のこの学校に転校して来たんは中学ん時で、たまたま同じクラスんなって、たまたま隣の席で。
あたしとハリーはそれ以来、腐れ縁ってヤツ。
昔っから転校ばっかで、友達作るん得意やから、今だって全校生徒が友達みたいなあたしと、俺様やけど人気のあるハリー。
めっちゃお似合いやろ?
ハリーの1番の仲良しはあたしで、中学の修学旅行ん時の自由行動は、当たり前の様に一緒に回った。
まぁ…仲良しグループって感じやったから、他にも人がおったけど?
せ、せやけど!
ライブやる時だって、必ずあたしに1番に教えてくれたし、メンバーの子らとだって仲良しやねんで?
好きとかそう言うん、苦手やし、よく分からへんけど、ハリーは特別や。って気付いてしもうた。
それやのに…
いつからか、ハリーを見つけると必ずと言っていい位、あのコも視界に入る様んなって…
最初は、
たまたまやろ?
とか思ってたし、
もしかして、あのコもハリーの事が好きなんやろか?
とか思っててんけど、そうじゃない。って分かってしまってん…
もちろん、あのコも好きみたいやけど、どっちかって言うとハリーの方やねんな。
あのコを気にしてるんは。
いつもハリーの方が寄って行って、いっつもハリーの方が遊びに誘ってんねん。
このまま気付かんふりしとこうか。と思ってたんやけど、放課後、珍しくあたしの所に来たハリーが今、目の前でうなだれてる。
…なんであのコなん?
あたしの親友やねんで?
そりゃ、友達はたくさんおるけど、あのコは飛び抜けてんねん…
話も合うし、一緒におってもめっちゃ楽しい。
出来れば、女子高生らしく、コイバナとかで盛り上がったりしたいねん。
それやのに、出来ひんやん…
意地悪したろか。って思ったけど、あたしそういうの苦手やねん。
それに、あのコはやっぱ親友や。
そしてあんたは、やっぱ大切な人…
あたしの前で、そんな苦しそうな顔せんといて…
あたしに相談とか…
止めてぇな…
あたし…
あんたの事……
『ふぅ………。
俺様ハリーも、あのコの事んなると形無しやな!』
『う、うるせぇ!!』
『しゃあないなぁ!
この、西本はるひに任せとき!
うまい事やったるわ!』
『マジかよ!』
『何やあんた、あたしの事信じられへんの?』
『んな訳無ぇだろ!
さっすが西本!』
『せやろ〜?
もっと褒めてもえぇねんで?』
『よっ!天下の西本!!
さすが俺様の大親友!』
……ッ!!
『何が大親友や!
あたし、あんたなんかの親友なった覚え無いわ!』
『まぁまぁ!
よろしく頼むぜ!』
『バカハリー!
現金な男やな!』
『クリームソーダ奢ってやっから!』
『ケーキとパフェもやで!!』
『げっ……』
『嫌やったら、別にいいんやで?』
ほんとは…
そんなんじゃ全然足りひんのやから…
『だーッ、分かったっつーの!
何でも好きなもん頼みやがれ!』
『言うたな?
遠慮せぇへんで?』
『お、おぅ!
この俺様に二言は無い!』
『それやったら〜、喫茶店の後にアナスタシア行って、ケーキ全種類一つづつやな!』
『は、はぁッ?!
それはダメだ!』
『なんでやねん!
二言は無い。言うたばっかやろ!』
『バ、バカ!
それは、喫茶店に限りだろ!
他の店は無しだ!』
『なんや、ケチハリー!
そんなんじゃビッグにはなれへんで?』
『それとこれとは関係無ぇだろ!
おら、行くぞ!』
『あ、待ってや!』
あたし、「レンアイ」とかあんま得意じゃないから、こうするしか思いつかへん…
でも、好きな人達には、いつだって笑ってて欲しいやろ?
だから、手伝ったるわ。
あんたが俺様でいられるように…
……その代わり、この貸しは高いから、覚えといてや?
あんたがビッグになったら、いつも特等席用意してもらうんも、えぇかもしれんな?
オシマイ…