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□おかえり。 其の弐
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もうすぐ彼が帰って来る。
いい香りのする台所に立ちながら、彼の帰りを一人待つ…
高校を卒業して、しばらく経ったけど、彼とは今も続いてる…
彼は今、一人暮しをしているから、こうして時間のある時には、台所を借りて食事を作る。
よし!
美味しそうに出来た★
喜んでくれるかな?
どんな顔するだろう…
今までに何度も作ってるけど、1番の出来かも!
やっぱり、愛情が篭ってるから??
えへへ……
彼の履いた、重そうな靴の音が近づいて来た。
ハタと止まったかと思うと、階段をかけ上がって来る音……
彼には内緒で来たから、部屋の明かりに驚いて走っているに違いない……
ガチャッ!
『おかえり!』
『な!なんでいるんだよ!』
予想通りの反応…
『別に?なんとなく?』
『なんとなく?じゃねぇだろ!』
『びっくりした?』
『当たり前だ!』
『やった!大成功!!
ご飯作っておいたから。
ほら、そこ座って!
もう!
喜びのあまり動けなくなっちゃった?』
『あ、あぁ……』
『はい、どうぞ!』
『………………。』
『あれ?
遠慮しなくていいんだからね?』
『遠慮ってよ……
これが飯か?』
『うん!
美味しそうでしょ?』
『美味しそうだけど、飯じゃねぇだろ……
だいたいおまえ、何だよ、その喋り方……』
『何って?』
『おまえ、いつから標準語になったんだ?』
『あ〜、もうバラしてもうた!
これやからハリーは…
せっかく、あたしが頑張って標準語喋っとったのに!
ほんま、堪え性の無い男やな!』
『う、うるせぇ!
つーか、バラしてもうたって、誰にだよ!』
『そんなん、読者の皆さんに決まってるやろ?
あんただって、佐伯の時言ってたやん?』
『そりゃそうだけどよ…
だいたい、何だよ、この飯!』
『めっちゃ美味しそうやろ?』
『おまえな、何処の世界に、チョコレートパフェで米を食うヤツがいんだよ?』
『ここ?』
『おかしいだろ!』
『普通やろ?
結構いけんねんで?
溶けかかったアイスと一緒に食べるご飯!』
『うぇ……』
『まさか、食べられへんのとちゃうやろな?』
『食えるわけねぇだろ!
こんなもん!!』
『あたしが、あんたの為に一生懸命作ったのに?』
『当たり前だ!』
『う…………
ひどいわ、ハリー……』
『お、おまえ!』
『ぅわ〜ん!
ハリーのばかー!!
おたんち〜ん!』
『わ、分かった!
食うよ!
食うから泣くな!!』
『ほんまに………?』
『あぁ!
パフェだけ見たら美味そうだしな!』
『無理せんくてもえぇねんで?』
『む、無理なんてしてねぇよ!』
『良かった〜!
ちゃんとキレイに食べてな?』
『おぅ…………
いただきます……』
『召し上がれ!
………………どや?』
『美味い!』
『そやろ〜?
そこで、ご飯を一口!』
『う………
…………………おぇ…』
『なんか言った?』
『なんでもねぇ!』
『そやんな?』
『…………………おぇ』
『なんやて?』
『なんでもねぇ!』
いじられ役ハリー……
愛しのデイジーちゃんに会えるのは、いつの日になるのやら……
オシマイ?