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□おかえり。
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もうすぐ彼が帰って来る。

いい匂いのする台所に立ちながら、彼の帰りを一人待つ…


高校を卒業して、しばらく経ったけど、彼とは今も続いてる…


彼は今、一人暮しをしているから、こうして時間のある時には、台所を借りて食事を作る。


彼が大好きだと言う、目玉焼きの乗ったハンバーグ。


目玉焼きは、半熟がいいらしい。


彼の履いた、重そうな靴の音が近づいて来た。


ハタと止まったかと思うと、階段をかけ上がって来る音……


黙って来たから、部屋の明かりに驚いて、走っているに違いない……


ガチャッ!


『おかえり!』

『な!なんでいるんだよ!』

予想通りの反応。

『……別に?』

『別にじゃねぇだろ!』

『ハンバーグ、作ってあるよ。
目玉焼き付き!!』

『お、おぅ!
サンキュ……
……じゃねぇ!
なんでいるんだよ!
佐伯!!』

『ったく…
いちいちウルサイんだよ!
早く食って、ギター教えろよ!』

『はぁ?!』

『その為に、こうしてハンバーグまで作ってやってるんだ!
教えてくれないんなら持ち帰る!』

『ま、待て!
分かったから待てって!』

『分かればいい…
ほら……』

『サンキュ!
…つーかよ、いきなり来て飯作んなよ!』

『何でだよ!』

『そりゃおまえ…
勘違いすんだろ!』

『プッ!
勘違いっておまえ…
そんな相手もいないくせに?』

『う、うるせぇ!
それに!
皆さんが勘違いすんだろ!』

『皆さん?
何だよ、それ。』

『これを読んでる皆さんだよ!
ぜってぇ勘違いしてるだろ!』

『これを読んでる?
何訳の分かんない事言ってんだよ?』

『い、色々あんだよ!
その…大人の事情っつうもんが!』

『…………はぁ。
付き合いきれない…』

『だぁ〜!
おまえが分かってねぇだけだろ!』

『変な事ばっか言ってないで、早く食えよ!』

『変な事じゃねぇ!』

『ウルサイ!
食わないんなら片付けるぞ!』

『ま、待て!
食うから!!』

『…ったく……
こんなもんが好きなんて、ほんとにガキだな。』

『はぁ?
ハンバーグだぞ?
目玉焼きだぞ?
ゴールデンコンビだろ!
初期のKISSメンバーくらい、最高のコンビだろ!』

『はぁ…………』

『何だよそのため息!』

『バカの相手は疲れる…』

『バカだと?!
この二重人格偽プリンスが!!』

『ほぉ……
やっぱり没収だ…』

『待て!
悪かった!!
全部俺が悪かった!』

『分かればいいんだ…
この針ねずみ!』

『クッ………』

『なんか言ったか?』

『な、なんも言ってねぇよ!』

『だよな。』

『くっそ。
覚えてろよ……』

『何?』

『なんでもねぇ!!』

こんな二人のやりとりは、この後もしばらく続いたのでした……


オシマイ

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