Swёеt
□夕焼け
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その言葉通り、きっと貴方は自分の嘘を知っているんだ。
今だって、こんなにも胸が鳴る度に全身の血が巡って、体を熱くさせる。
自分は貴方に適わない。
「‥‥ノーコメントで。」
「そんな〜ハルヒ。」
自分のぶっきらぼうな反応に、また環先輩は笑った。
そして、手に持っていたシャボン玉のストローを液に浸して吹く。
大きな一つのシャボン玉。
それはストローの先から離れて、ふわふわと飛んだ。
シャボン玉は、自分の目の前にまで浮かび上がって…
そこに映った自分の顔が見えた。
赤く染まって、怪訝そうな顔をしているけど
どこか幸せそうな顔。
毎朝鏡で確認する自分と、今の自分は同一人物な筈なのに、全然知らない人かのような表情。
こんな顔…するんだ自分。
「ほら。やっぱり赤い。」
「ほ…ほっといてくださいよ…///」
「ハルヒ。」
くすくすと笑う環先輩に呼ばれて、ゆっくりと顔を向ける。
「大好き。」
「そ、そんな唐突な…」
「俺は言えるときに、沢山言いたいの!」
「そうですか…。」
「ハルヒは?」
「えっ!」
今度は、一番と自分が答えにくい質問を振ってくる。
はぐらかそうかと思ったけれど、その爛々とした目で見てくる環先輩に、逃げ場が無いと確信する。
そして…恥ずかしいけれど、勇気を出して言ってみる。
「す、き…ですよ。」
さっきから顔が熱くてたまらない。
言葉にするのは、行動に起こすよりも恥ずかしくて…とても勇気が必要で
けれど…貴方が笑ってくれるなら
「俺もっ!ハルヒ。大好きだぞ!」
「…知ってますよ///」
勇気を出すことは、ためらわない。
そんな何度目かの告白を聞きながら、環先輩の唇が自分のそれを塞いできた。
ゆっくりと…それでいて深いキスに、自分の脳は麻痺する。
「んっ…」
リップ音を響かせて離れた唇は、とても寂しく思えた。
環先輩と視線を絡ませると、不意に唇を親指でなぞられる。
「ハルヒ…欲しい顔してる。」
ドキッ…
そう言われて、さっきのシャボン玉に映った自分の顔を思い出す。
欲しい顔ってどんな!?
そんなことも考えたけれど、何より…自分を見つめて離さない環先輩の瞳に、自分の胸は高鳴るばかり。
「‥‥‥ほ」
「ん?」
が…頑張れ自分っ!
「欲しい…ですっ。環先輩…が…っ///」
貴方の笑顔が見たくて
声を振り絞る。
「‥‥やられた。」
「え…?」
そう呟いた環先輩に驚いていると、その頬は赤く染まっていた。
「本当に…なんでそんなに可愛いの…///」
「えっ、えっ??」
「悔しいから…たんま無し!」
「た、環せんぱ…んんっ?!///」
頭の隅で、ちょっと早まっちゃったかな?と思ったりした。
でも…こんなに嬉しそうな環先輩の顔を見れたことは、自分にとっては嬉しいわけで。
いつまでも…こうしていたいと、思うほどに。
この夕日の空の下で、しっかりと貴方に向かい合って、その背中にそっと手を回した。
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