Swёеt
□欲しいモノ
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―ガチャッ―
「ハルヒ!いらっしゃ…って、ハルヒ!?」
自分がインターホンを鳴らすとすぐ返事が返ってきて、目の前の大きな扉が開き、笑顔な環先輩が出てきたと思うと、環先輩は一変、驚いた顔になった。
「あ、環先輩こんにちわ。すみませんが、タオルを貸して頂けませんか?」
環先輩が驚くのも無理はない。
何故なら、今自分はずぶ濡れだからだ。
今日は日曜日。
特に用事もなかったので、環先輩に誘われて、今日は環先輩の家にお邪魔することになった。
環先輩の家、須王第二邸に向かっている途中で、いきなり豪雨と言っても可笑しくない雨が降り出し、急いで来たものの、自分はびしょびしょに濡れてしまった。
しかも通り雨で、今はすっかり暖かい日が差している。
…天気予報では、晴れって言ってたのになぁ。
洗濯物干してこなくて正解だった。
今日は使用人さんたちがみんな里帰りしたため、環先輩が玄関の扉を開けてくれた。
中に入ってと言われたけど、自分は今水が滴っているので、この状態で入るのは遠慮した。
しばらくして、環先輩は真っ白なバスタオルを持ってきてくれた。
質感に驚きながらも、自分は玄関である程度体を拭いてから、ようやく中に入ることができた。
「‥‥そっか、最近はいきなり降り出すからな。折り畳み傘を持つのが良いかもな。」
「そうですね。今度からそうします。」
環先輩と話ながら向かった先は、先輩の部屋。
環先輩の部屋は、相変わらず広い。
逆に自分は、部屋と言うには広すぎて、いつも何だか落ち着かない。
「…っ!」
寒いっ…
「? ハルヒ?」
自分は体が冷えてきて、思わず身震いした。
「ハルヒ?寒いのか?」
「は、はい…」
自分がそう言うと、いきなり、ふわっとした温もりが自分を包んだ。
えっ…
でもそれはすぐに、環先輩に抱き締められているんだと気づいた。
「た、環先輩!///
濡れちゃいますよ…?」
「良いよ。俺はハルヒを温めたいんだもん〜。」
…全くもぅ
そんなコトを言って、自分にすりすりと頬ずりしてくる環先輩は、年上の威厳ゼロ。
でもそんな環先輩が可愛く思えるなんて…
きっと自分は、重症だ。
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