100題2

□明るいだけでただの馬鹿
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「せんぱーい!一緒に帰りましょうよ!!」
無邪気な笑顔を振り撒いて、まるで犬か猫の様な、とりあえず動物的な尻尾がついているような笑顔を振り撒く後輩に内心溜め息を点いてから、いいよ。と笑んだ。
「でも、部活あるから遅れちゃうよ。」
私が断ることがどうしてもできないので向こうからならいいやと言ってくれる様に苦肉のを言ってみる。でも彼は待ってますよ!と笑顔で一蹴した。
その笑顔がまるで凶器の様に感じてならない私は、少し胸を押さえて、それを彼にばれないよう部活のあったらしい彼に手をふり別れた。
溜め息一つ。
何でですか彼はいつも私に一緒に帰ろうと声をかけるのだろうか。
別に彼との接点なんてなにもない、彼と親しい人と仲がいい訳でもない。
でも彼はまるで親しい仲かの様に私に声をかける。
もともと頼み事を断ることができない私はなし崩し的に一緒に帰っているが、正直気まずい。それは当選彼と私が、この間まで顔も知らない他人だったからに起因するのだが、いっそどこかで彼と会った事があるのではないかと疑いそうになった。まあそんな事実無いが。
友達に相談すれば、じゃあ断ればと言われるし、それが出来たら苦労はないと言い返せない自分の性格に腹がたち、私は相談するのが合わないと言うことがよくわかっただけだった。
そして今日も断ることができなっかた私は溜め息をつきながら部活に行くのであった。







今日は比較的に部活が早く終わったので、早めに待ち合わせの校門を目指す。
黙ってさきに帰る事も選択肢として存在してはいるが、そもそもそんな事が出来たら誘いを断れている。
だから私は素直に赤也君を待っているのだ。
それにしても、彼はなんで私を誘うのだろうか。
先程は逸れてしまった疑問を再び掘り返す。

……………やっぱり、嫌がらせだったりするのかな。
何かの罰ゲームだったり。そんな事を考えると、気分が更に陰鬱になる。
「お待たせッス!先輩!!」
考え事をしていたら、いつのまに来たのか、赤也君が息を切らせて私の前に居た。
赤也君は、私が軽蔑の眼差しで見ているなんて気づかずに笑う。
その事に私は更に腹がたつ。
なんでそんなに平然としているのだと。
「赤也君…。」
「なんスか?」
赤也君は私が話しかけたのがそんなに嬉しかったのか、満面の笑みを張り付けていた。
「あのさ…なんで赤也君は私と一緒に帰るの?」
素直に答えてくれるとは思っていなかったけれど、それで垣間見える顔で嘘か本当かわかるでしょ。とかそんな気持ちで私は彼に質問した。
でも、彼は私の思う以上に馬鹿な人だったらしい。




「先輩が好きだからッスよ!」


はにかむ彼の好きは"一目惚れ"








明るいだけでただの馬鹿
(そんな彼に揺れた私はもっと馬鹿)
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