100題2

□残酷な笑顔無情な言葉
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「私は平行世界という物が実在していると信じているんだよ。それは自分の人生に不満を持っていて、だけれどもその不満を改正する事も出来ずにどこかの世界では自分は幸せになっているとかのありふれた夢を抱いて現実を受け入れちゃっているとかじゃなくて、ただ直感的な感じ?人間も昔は持っていた動物的野生の勘みたいな、そんな感じの物で感じるの。だから私は平行世界があって、そして私とは違う私に姿が似た人間や、私の姿とは違うけど私とはちょっとずつずれた同じ考えを持っている人がいたりしていると思っているの。でもだからと言ってそれを証明する術を持っていないんだよ。残念ながらね。だからこう言う話をした後証明しろって言われても困るんだよね。だって証明する術を持っていないんだから。と言うか最初に野性的、第六感的にっていってるのに何で数学的に確率や証明しなくちゃいけないの?って話だよね。て、あ、そう言えば六感的は言ってなかったかな?まあ別にいっか、野性的も六感的も一緒だよね。変わらない変わらない。」

そう一息に言ってしまうと彼女は注文しておきながら全く口にしていなかった珈琲を飲んだ。
アレだけ喋ったのだから喉が渇くのも当然か。
「日吉君はどう思う?」
彼女は一気に飲み干してしまった珈琲の入っていたカップをドンと置き、詰め寄る様に俺に向かって問い出した。
先程まで聞いている相手そっちのけで話されていた為に突然の質問に即答して答えることができない。そんな俺にどうなのと先輩が詰め寄る。
「そうですね、俺からしたら証明できないなら有っても無くても信じる人次第だと思いますけど。」
「いや、そう言う当たり障りない意見じゃなくて、日吉君が信じてるかどうか。」
俺が先程まで聞かされていた愚痴の様な話の意見を述べれば、どうやら先輩の中ではもう話題が、後輩が自分と同じ考えをしているかに変わっていたらしく、真剣な顔で俺を見ている
「信じてますよ。」
「へえ意外。」
人に対して質問したわりに俺の答えなんて分かっていたかの様に(じゃあさっきの顔はなんだったんだ)先輩は棒読みに声を上げた。「まあでも確かに、知っていて当然ですよね、毎回人の記事没にしている張本人なんですから。」
「だって日吉君の記事っていつも趣味に偏ってるんだもん。」
「報道誌の名前意味なく平行世界誌にしている人に言われたくありません。」
「いや、だって私委員長様だから。」
にこり。と笑顔で横暴な発言を平気で言い放つ、年功序列以外上のものはないだろう委員長に憎しみを籠めて職権乱用ですねと悪態をつく。
しかし先輩はもっと言ってと言わんばかりに誇らしげに委員長だからこその職権乱用だよ。と再びにこり。と笑った。
そしてのうのうと珈琲のおかわりを頼んでいる。
この人の行動には本当に殺意がわく。
結局このお代も俺持ちになるのだろう。いつもの上等文句と笑顔によって。




残酷な笑顔無情な言葉
(私のお願い聞いてくれたら雑誌に載せてあげようかな。)
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