100題2

□息苦しいほどに愛している
1ページ/3ページ



空に漂う雲は風に流される。
屋上ですら風がほとんど流れていないのに、空はあんなにも強い風が吹いているのかと思うと、無意識に手を伸ばした。












古典の授業の朗読。鳥の囀ずり。子守唄のCD。
気持ち良くなって眠たくなる音は沢山あるけど、その中で一番気持ち良くって暖かくって、春の日差しみたいに心が暖まる音は、彼女の声だった。





「じろー…寝てる?」
さっきまで膝の上に乗っている俺の頭を撫でてくれていた手が止まって、彼女のかわいくてあったかい声が俺の名前を呼んだ。
しかし、俺は手が止まってしまった事が悲しくて、重い瞼と同じ位とても重い眠気と戦いながらまだ起きてる。と答えた。
そうしたら、彼女は少し笑ってまた俺の頭を撫でだしてくれて、それに安心した俺は、今度こそ眠気に惨敗して眠りについた。








次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ