100題2

□子供の頃の夢想歌
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昔見た千葉にある夢の国の作品の中でも、私は白雪姫が好きだった。
成長してみると、色々疑問がうかぶけれど、ネクロフィリア(死体愛好家)と言われる王子はかっこよかったし、只のオジサン顔の小人も可愛かった。
そして何より白雪姫が健気な可愛い女の子に見えていたのだ。



しかし今は立派に死体に口づけする王子はネクロフィリアと言わないまでも気味が悪いし、小人を可愛いなどとは嘘でも言えないし、白雪姫などバカにしか見えない。
まあ要約すれば、私がひねくれた。と言うことだ。

「全くや。」
目の前でブラックコーヒーを先程まで美味しそうに飲んでいた顔を今は、まるでコーヒーが苦くて不味いとでも言う様にしかめて、ため息を吐いた。
「ひねくれ過ぎやろ、さすがに。」
「そうかな?」
今時みんなそんな気がする。
しかし、白石には、いーや、ちゃうな。と否定される。
そもそも、どうしてそんな話を私がし出したのかと言えば、白石が、美味しいコーヒーを淹れる喫茶店があるから一緒に行こうと誘った事から始まり、そのお店は確かにコーヒーは美味しかったのだが、自営業の為かそのお店には、家主の趣味に偏った、四本指で三等親のネズミから始まり、ネズミの友達のアヒルとかネズミの飼い犬とか、お馴染みのキャラクターが勢揃いしていて、その中に白雪姫がいたのだ。
そしてそれをきっかけに古い記憶が紐解かれて思い出され、話した。と言う経緯であった。
「千歳なんかは、今でもトトロ好きやし。」
「アレは保育園児がでかい図体してるだけだから。」
「…そこまで落ちるんか。」
白石の言葉を切る様に、冷たく言い放てば、白石がさすがにたじろいだ。
しかし千歳が例外なのは事実である。
「でも、自分が昔好きやったものをそこまで否定出来るんも凄いなぁ。」

「ん?別に嫌いじゃないよ?」









子供の頃の夢想歌
(だけど昔ほど空想を膨らませられないだけだよ)

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