100題

□苦いコーヒーと君からの嫌味
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朝日が昇って何時間、寝入ったのは何時だったかを考えながら目を覚ました俺はまだ眠り足りないと閉じようとする瞳を擦りながら体を起した。
目を覚まして(自分的)朝一番のお風呂に入ると、先ほどは着信など無かった携帯電話のディスプレイは青く光り着信が来た事を示している。
ディスプレイには跡部の二文字。
基本的にメールなんて送らない彼が何でこんな時間にと思い時計を見れば、今日会うと約束をしていた時間が大幅に過ぎている事を知る。
「(ああ、だからか…。)」
納得して跡部クンから来たメールを開く事無く消す。見た範囲に早く来いとか書いてあった事から内容はどうせ俺に対する文句で埋まっているだろうと思ったからだ。
それに対してなんて返せば良いのか分からないし、間違えて消したって言ったら何とかなるだろ。
そう思って蒲団にうつ伏せで顔を埋めた。
蒲団は少し埃を吸っていて気分が不快になる。
蒲団干そうかどうか少し迷って、いい気分転換にもなるかなと思い結局干す事にした。

「……………。」
蒲団が無くなったベッドは、何だかがらんとした様子になってしまって、それは蒲団がいつもベッドから溢れんばかりに垂れていたからなのだろうと考えながら、ついでに蒲団から剥いだ皺だらけのシーツも洗濯して干そうかなと考えて、なら部屋中に落ちてる服もついでに洗って干そうと思い服を拾いだした。

「………………。」
落ちていた服と皺だらけのシーツを干してしまい、部屋に戻った俺は、服とシーツが無くなった部屋はいよいよがらんとしていて落ち着かないなと思い、そして落ちていた服に隠されていたゴミなどが目立っているなと思った。
俺は服も拾ってしまったし、ついでにゴミも拾ってしまおうかと思い、大き目のゴミ袋を持ってきて、片手に持ってもう片手でポテチの空袋や空のペットボトルを拾って無造作に棄てだした。本当なら分けて拾った方がいいとは思っていてもそんな事までしようとは思わなかった俺は次々にゴミを投げ入れてしまう。

途中から舞い上がった埃がどうにも埃臭いし鬱陶しいし、くしゃみが止まらなくなったので窓を開け放った。
開けた瞬間息苦しさが無くなり、それに伴い新鮮な空気が入ってきて、それを吸い込んだ俺は東京の空気もあながち棄てたもんじゃないなと思って、まあ埃まみれの空気よりはだけど、と気持ち言い訳して再びゴミを棄てるだけの作業を再開した。

「………………。」
大まかなゴミが無くなったらいかんせん塵や綿埃が気になりだした俺は、遂に掃除機まで引っ張り出した。
そして掃除機のコンセントを差してスイッチを入れると、騒音を発しながら掃除機は動き出した。
途中騒音の中鳴っていた携帯は無視した。


「うっわ、綺麗になったなあ。」
今までの状態が嘘のように綺麗になった部屋を見て俺は感嘆の言葉を吐く。今までの状態が今までだったからに、その驚きは大きい。
きっともう服もシーツも乾いているだろうし、蒲団も太陽光を浴びてあの干した後の心地良い匂いに溢れているんだろうと思い、俺はすぐさま蒲団や服を取り入れにベランダへと出た。
携帯の着信が二件になっていた。
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