100題

□小さな身長大きな態度
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私は普通な人間だ。
普通に人が好きで人が嫌いな普通な人間だ。
人の優しさや友情や愛情、正となる感情が好きで、裏切りや嫉妬や妬みや憎しみが大嫌いな普通の人間だ。
人には負の感情の種類の方が細かく分類されている。と私は思っている。
私が人を嫌いになる事の方が多いいから、私が思いつく負の数のほうが多いいから、と言う理由だけなのだけれど、それでも人は負の感情を抱いている回数の方が多いいと思う。
生きていれば順位が決められて、勝者と敗者、優劣が決まり、嫉妬や憤怒や妬みが生まれて負の連鎖が続いていく為だ。
その事が正の感情になることなど早々無いだろう。
しかし正が負になることは易々とある。
正は負になるのに負は正にはならない。
プラス+マイナスはマイナスで、マイナス+マイナスもマイナスなのだ。
だから、正の感情が好きで憎しみが嫌いな普通の人間の私はどうしても人を嫌いになる事が多くなる。

「ねえ、それ、全然普通じゃないと思うよ。」
「………普通だよ。普通に善が好きで悪が嫌いなんだよ。」
「だから、その極端さが普通じゃないって。」
「…?」
私はよく否定される。
それは私の善悪の割り切りや、私の意見があまりにも確定的で曖昧さを含まないからなのだろう。
それは理解できる。しかしながら否定される事が心地良い事は絶対に無い。
私だって人間だから、正の感情があれば負の感情だってあるからだ。
だから私は否定された時は、相手がぐうの音も出ないくらいの論議でその否定の声を押し付けている。
しかしながら今回の場合は、普通と言う言葉があまりに曖昧すぎる言葉の為に、どういえば良いのかを少しだけ考える。
確かに自分の割り切りの良さや断固とした意志の固さを多くの人が持っているとは思わないし思っていない。
だが持っている人もいる。
双方を合わせ持っているか否かは判断しかねるが、片方を持って居る人は万といるだろう。
しかし、今隣の席に座っている越前リョーマが言う私の普通ではない所はその二つを合わせ持っている事を指しているんだろうから私は悩むのだ。
普通のものと普通のものをあわせて、その集合体が果たして普通なのだろうか。
数学のようにプラスとプラスをあわせてもプラスなんて簡単な事は無いのだ。
私は考えを一旦止めて、越前リョーマの顔を盗み見る。
つもりだったのだが、越前リョーマも私を見ていた為、もろに顔が合ってしまった。
そして越前は口の端を吊り上げて、勝ち誇ったように、ね、やっぱ普通じゃないっしょ?と私を思考を読んだのか私の顔に私の思考が出てしまっているのか、私の考えた事を理解した様に笑った。



小さな身長大きな態度
(越前君って、負の塊みたいな人だね)
(なんとでも)

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