水下

□君のいいとこ
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部活後、部誌を書いているため、皆帰宅したのに一人部室に残っていたら、まだ帰っていなかったらしい財前が話しかけてきた

「部長。」
「んあ?」
「部長は顔しかええとこありませんね。」
「………怒ってええとこ?」



君のいいとこ





白石は頭を悩ませていた
目の前の椅子に腰をかけて何処と無く宙に視線を泳がせている黒髪の少年が放った言葉の意味を考えているからだ

目の前にいる黒髪の少年こと、財前光はふいにこの様な突拍子も無い事を言い放つ
言った理由は、相手をからかう為であったり、生真面目な話であったりする
別にそれはいい、そんなの別の奴らであってもある事だ
ただ財前の場合は、同じ言い方でその二つを言うのだ、だから白石はその区別をつけなければならない
からかいだった場合は大して気にする事は無くその話に乗ったり乗らなかったりと他の奴らと同じように反応を示して、生真面目な方であったならばその意味を探り、返す言葉を考える
何故白石がこんな事をしだしたか、
別に、そうしろと財前が言ったわけでも態度で示したわけでもない
財前は自身をそうやって相手に押し付けることを嫌うように気づかれても気づかれなくても良いかのように投げ捨てるようにその言葉を放つからだ
気づかれないようにしているかのような気さえするくらい乱雑に、
聞いて貰いたい本人がそんな事をしていたら、聞く側なんて気づけるはずが無い、だから白石は財前の言った言葉一つ一つを意識して聞き逃さぬようにしだしたのだ。

さて、話は戻るが、白石はいつもの様にまだ頭を悩ませている
いつもいつも気にするようになってから、大体勘で分けれるようになった
そしてその勘では今のは意味のある方な気がする
しかし肝心の意味が分からない
それで白石は頭を悩ませているのだ
財前の顔を見たって財前が自ら理由を言うわけも無い言っていたら今までの白石の苦労は無い
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