□ふぁーすときす
1ページ/3ページ





「初キスは、付き合って一週間!?」







ふぁーすときす









「千石どうしたんだ?」
授業と授業の境、暇そうに雑誌を読んで居た俺が、両手に持つ雑誌を握りしめて突然叫んだ。
そんな俺に南が心配そうに声をかけるが、俺は動揺しすぎてその言葉に返事を返せない。
動揺の理由。それは両手に握りしめられている雑誌の内容の為だ。
『先週の質問。付き合ってからキスするまで平均日数は?の答え。調査によると、だいたい皆さん一週間前後ですね〜。それと……』
そこに載っているグラフを見れば、殆どの人が付き合ったその日とか、一週間位と答えている。
え?嘘、待ってよ、俺跡部クンと付き合ってもう三ヶ月だけど手を無理やり繋いで一緒に歩いて帰ったくらいだよ。え?嘘。
「ねえ南!南は付き合ってからどの位でキスする?」
南は絶対に一週間とかありえないスコアを出すわけが無いだろうと勢いづいて聞けば、南は付き合ってないし。と意外にアッサリと答えた。
「でも大体一週間前後じゃないか?話とか聞いててみんなそんな感じだし。」
「マジで!!」
俺はあんましそんな話聞かないよ!
「どうしよう。俺付き合って三ヶ月だけどまだ手しか繋いでない……。」
「お前が付き合って三ヶ月も経ってるのに手を繋いでるだけ!?」
焦る俺の呟きに南はかなり驚いたようで座っていた椅子からずり落ちそうになる。
俺にはどうしたって手の早い噂が流れるので驚くのはまあ分かるけど、椅子からずり落ちそうになるってどうよ。
「そーだよ。しかも跡部クンの手を無理やりとって一、二回帰り道歩いただけ。」
南のリアクションに怒る気も出なくて俺は机に突っ伏して喋る。南はまた驚いた様で小さく声を上げていた。
そんな南に何かを言うでなく俺の心中とは間反対の晴天を少し恨めしく見やる。
跡部クンは、キスどころかまず手もまともに繋いでくれないんだよな〜。まったく。どうしたらいんだか。
「跡部はお前から誘わないと無理だと思うぞ。」
「…………はい!?」
唐突な南の発言に思考が一瞬どころか一秒位止まる。
「ちょ!南なんだよ!人の心の中勝手に読むな!」
「お前の心の中は外に駄々漏れなんだよ!」
変態!と叫ぶと流石の南もムキになって怒鳴り返してきた。オマケに頭を叩かれた。
「いったいなあ!と言うか、南がお前から誘わないと、とか言うのってアレだね。」
叩かれた頭を押さながら意地悪くそう言ってやると、南が一瞬で顔を真っ赤にさせる。
「お!俺は!お前の為に言ってやったのに!何だよ!」
「わーかってるよ。メンゴ。メンゴ。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ