MSCアナザ-エピロ-グ〜WINTER Ver.〜

□突然の言葉
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そんな2組のカップルを誕生させたクリスマスが終り、
それからは時の流れが本当に早かった。

大晦日こそ、例年の様に
明日香や誉田達と一緒だったものの、
周りが呆れる程、
桜子は津田沼から離れようとせず、
正月は正月で、
初詣の御神籤は二人とも大吉を引き、
バレンタインにはお互いがお互いに
チョコを贈りあっていた。

桜子は、今迄の横暴が嘘の様に
女らしくなっていった。

6年半以上掛けても変らなかった事が、
ものの2ヶ月で見る見る内に
変っていったのだ。

毎晩の様に津田沼を求める、
性に対して奔放な"肉食女子"の桜子に、
性に対して無知な"草食男子"の津田沼は
辟易するかと思われたが、
寧ろ「それで彼女が悦ぶなら」と、
桜子からの夜の求愛にも快く応えていた。
そしていつしか、
津田沼の方から桜子を求める事も
珍しくは無くなっていた。

しかし3月の声を聞いた頃、
桜子の体には再び異変が生じ始めていた。

桜子は"まさか"と思ったが、
しかし"もしかしたら"とも思い、
とある病院を訪ねた。

そして医師は彼女に、
「おめでとうございます。 3ヶ月ですね。」
と、その予感が現実である事を告げた。

桜子はそれを聞いた瞬間、頭が真っ白になり、
帰り道の事は何も覚えていなかった。

子供の父親が津田沼なのは明白だった。

だが彼女は、
自分に起った出来事の余りの大きさ故か、
誰にもそれを伝える事が出来なかった。

そして、「妊娠…、私が妊娠……。
もう、忘れたつもりだったのに………」
と小さく呟き、眠りに就くのだった。
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