MSCアナザ-エピロ-グ〜WINTER Ver.〜

□桜子の異変
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今年も又、この季節がやって来た。
街中が浮れまくるクリスマスである。

そんなイブ迄あと4日に迫った12月2O日、
いつもの大学内の学食。

桜子、明日香、マキ、薬園台、由貴緒、
矢切の女6人が、いつもの様に集まっていた。

いつもと違う事と言えば、
桜子が窓の外を見つめながら、何度も力無く
溜息をつき続けている事位であった。

「もうすぐクリスマスですね!」と、
一人ではしゃいでいる矢切。

「今年も結局、いつものイブじゃん!
もう嫌んなっちゃう!」と、
愚痴を零している由貴緒。

「あんた、いつもそればっかりね!
確かに彼氏居ないのは私もだけど…」と、
マキはそんな由貴緒に半ば呆れつつも、
若干見につまされていた。

ふと矢切が視線を移すと、
桜子の様子がいつもと違う事に気付いた。

不思議に思った矢切は、桜子に直接、
「大丈夫ですか、桜子さん?
元気ないみたいですけど、
どうかしたんですか?」と尋ねてみるが、
桜子は上の空で一向に答える様子が無い。

明日香も「コイツ最近、ずっとこうなんだよ!
何か、今月入ったぐらいから…」と、
桜子の突然の異変の原因が解らずにいた。

マキも、「桜子ちゃんでも、
そういう事があるのね。」と、首を傾げていた。

すると由貴緒が、「もしかして、
恋でもしたんじゃないんですか?」と、
意外な一言を口にした。

そしてそれに食い付いた矢切が、
「恋―――――――!??」と叫ぶと、
その声に気付いた桜子は突然振り向き、
「バ、バカね矢切も由貴緒も!
そんな事、ある訳無いじゃない!」と、
首を横に振りながら精一杯否定するが、
その顔が真っ赤に赤面していた事から、
図星なのは誰の眼にも明らかだった。

桜子は「いつまでもバカ言ってないで、
この後講義も無いんだから、帰るわよ。」
とその場を取り繕うと、
階段を降りて帰ろうとしたが、
その時ふと軽い目眩が桜子を襲い、
階段を踏み外して気を失い倒れてしまう。

「桜子!」「桜子ちゃん!!」「桜子さん!!!」
4人は大慌てで、
桜子の元へ駆け寄っていった。
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