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カカオ色の長いリボンが、空中に弧を描く。
たった其れだけの出来事が、
何でこんなにも此の僕の目を引くのだろう。

そして、
肩口で揃えられた巻き毛を揺らし、
少女は今日もくるくると舞う。
普段は柔らかな笑みの形の、其の小さな唇が、
解らない言葉で、知らない懐かしい旋律を刻む。
優しく、儚く、繰り返し、繰り返し。

此うして居るのを観ていると、
鈍臭くて無口な時とは全く別の存在の様。
(どちらにせよ、流石にまあ可憐では或るのだが)

彼女と出逢って三日。
良い加減そろそろ名前を決めなければ。
其れが、螺子を巻いた僕の責任だ。
彼の店主は『絆』何て云い方をしたけれど。

「者じゃない、物じゃないか」

鼻に付く妖笑を思い出し、抵抗する様に呟くと、
一定の調子できりきりと音を立てていた少女の生命線が、ぎこちなく留まり始めた。

「おっと…」

少女を掌に乗せ、螺子を巻こうとすると、
口煩い時計に気付くのが遅いとどやされた。


"と或る考察・初版"
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改行不可。文中に無記名だと、どなたか判りません。レスは日記にて。



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