かのちこさんのお部屋

□かんちゃん雲の上
1ページ/5ページ

白く、ぽっかりと浮いた雲は、柔らかいの?堅いの?
きっと、柔らかいんだよ。
かんちゃんは、そんな事を思い乍、お空を見上げていました。
胸にだっこしたぬいぐるみ。それは、パンダの服を着た、兎の「こったん」こと、ここちゃん。
その、こったんも一緒に空を見上げている様でした。
暖かな縁側と濡れ縁に、お茶とお菓子を用意して、絵を描きながら見上げていました。
絵には、三羽の手を繋いだ兎と、太陽。そして、雲。
「かんちゃん、雲に乗りたいなぁ…」
かんちゃんは、ぽつりと、そう呟きました。
「じゃあ、行くらぁん」
抱いていたこったんが、かんちゃんを見上げて話し掛けてきました。
「え、本当!?」
かんちゃんの胸は、嬉しくて高鳴りました。
「っあぁ。ここがぁ、魔法ちたりわぁ」
ぴょん、と、かんちゃんの膝から降りたこったんは、魔法の呪文を唱えます。
「ここわ、こここれ、こここらん。こここ、こここれ、こここらん。はりほりへ、ほりはりは。はりほりへりはりはり〜!」
言って、こったんは小さな腕を回しました。すると、こったんがふわり、と浮き上がりました。
「あ〜!こったん、凄いねぇ」
かんちゃんは、目をキラキラと輝かせて言いました。
「れと〜」
こったんは、ご機嫌です。「こーここたんはぁ、こーこのお背中の羽、見えりぃ?」
くるり、とこったんは、かんちゃんにお背中を見せました。
「見えないよ」
かんちゃんは、困ったように言いました。
「っあ〜。見える、て思て見ないと、駄目だわぁ」
かんちゃんは、思い込むかの様にして、こったんの背中を見続けました。
すると、ぼんやりと羽が見えてきました。
やがて、それははっきりと見え、小さな青い鳥の翼がぱたぱたと、はためいていました。
「あ!見えたよ!こったん!」
かんちゃんは、嬉しそうに言いました。
「れとー。こここたんもー、羽ーしたりわー。どんな羽が、いのー?」
「かんちゃんね〜、色んな色のがいーのー」
「あ〜。い〜らんね〜。れー、どんな羽が、いのー?鳥さん〜?とんぼさん〜?かぶとむしむし〜?てんとーむしむし〜?」
こったんは、色んな例えを上げました。
「かんちゃんね〜、蝶々さん!」
かんちゃんは、にこにこしながら、嬉しそうにそう言いました。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ